内容説明
末法の世。宋から戻った道元を待っていたのは戦乱と飢饉で屍臭漂う都だった―。誰もが救いを求める世に仏法の深遠を説き続けた曹洞宗の開祖・道元。やがて教えは『正法眼蔵』へと至り修行の聖地「永平寺」が建立される…。命を賭して仏法を世に弘めた晩年までを描く下巻。
著者等紹介
立松和平[タテマツワヘイ]
作家。1947年栃木県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中に「自転車」で早稲田文学新人賞。80年『遠雷』で野間文芸新人賞、93年『卵洗い』で坪田譲治文学賞、97年『毒―風聞・田中正造』で毎日出版文化賞、02年『道元の月』で第31回大谷竹次郎賞、07年『道元禅師』で第35回泉鏡花文学賞、第5回親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
1
当然のことではあるが、上巻に比べて、宗祖としての立場や、社会的責任等を含め、いかにして他者へ正法を示し、伝えて行くかというところに重心が移っていき、ますます道元という人物に惹き付けられるものを感じた。どうしても私ごときの感想になれば、上巻における求道者としての一途さや、正師が得られない苦悩といったことよりも、他者への影響といった社会的活躍に展開の面白さを感じてしまう。しかし、本当の意味で他者に道を説き示すことが、外側にではなく、自分自身の内側に本来備わっている仏性を悟り極めた人にして、→(2)2016/02/29