内容説明
千古の歴史をへた山紫水明の古城の町、南京。そこは幾多の王朝が興亡し、一将功成る栄光のかげで万骨が枯れていった非情の舞台でもあった。恨みをのんで非業の死を遂げたものは鬼になるという。揚子江の川辺に、城壁や城門のあたりに、人の寝静まった真夜中、青いほむらのなかに鬼のさけびが聞こえるという。
目次
秦淮河―美しい鬼となった西施(戦国・越)
石頭城―岩壁に現われた鬼の顔(三国・呉)
台城―餓死した皇帝菩薩(南朝・梁)
鶏鳴寺―井戸のほとりの惨劇(南朝・陳)
中華門―あばたの朱という男(明)
明故宮―虎に仕えた美女たち(明)
明孝陵―十三の城門・十三の柩(明)
鄭和の墓―死んだはずの建文帝(明)
天主堂―西洋の鬼と仲間たち(明)〔ほか〕