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内容説明
冷静なる「評論家」の仮面を脱ぎ捨てて「死」の威力と闘う。ガン、そして再発。刻々と忍びよる死に、目をそむけることなく立ち向かった山本七平が、今一度、問う―死を予期して、人は初めて真実の姿を見せる。息子はそこに、著作には決して表われ得ぬ父を見た。
目次
1 闘いのはじまり(多忙をきわめた父;不思議な写真;胃痙攣が止まらない ほか)
2 告知からの生還(ガンの宣告;ガンの告知;転院をするべきか ほか)
3 生は死を越える(ふたりきりの時間;ライフ・ケア・システム;ガン再発す ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
脳疣沼
1
立派な死に様です。本人はもちろんだが、支える家族も立派すぎる。これがキリスト教の力かと思う。日本の終末医療に欠けているのはどう考えても宗教であって、確固たる信じるべきものがないから、死ぬ直前になって変な新興宗教に走ったり、悪徳偽医療の餌食になったりするのではないかと思う。信じれる宗教のある人を羨ましく思う。2017/01/31
Toshio Iwamura
0
末期の膵臓ガンであった晩年の山本七平の凄絶な闘病記を、本人(文藝春秋に発表した「病床つれづれ草」)、妻(れい子)、息子(良樹)の3者の視点から書き起こしたもの。闘病を通じ、また、家族の視線を通じ、膨大な評論集からは見えてこなかった人間・山本七平の、ありのままの姿が見える。死を目前にしたこのような凄まじい闘病の中でも、冷静な観察眼を持つ山本七平の姿が印象的。死の間際に口にしたという「戦友」「進歩的文化人」「共産主義」、これこそ七平さんの原点だったのではなかろうか。