内容説明
昭和一九年(一九四四)七月二〇日、柱島泊地に連合艦隊が凱旋してきた。今次の大戦の帰趨を決した海戦は、一昼夜にわたって繰り広げられたが、終わってみれば、日本側の圧勝であった。米太平洋艦隊は消滅した。(戦争を終わらせる数少ないチャンスだ。この機を逃してはならない)夏のまぶしい日差しが入ってくる大東亜大臣室の窓を、西条英俊は全開にした。その四日後。西条は一人、首相官邸を訪れていた。首相の東条英機は、机の上に差し出された白い封筒をじっと見つめている。「総理、心残りもありますが、お国のために最善の道を選びたいと存じます」「やはり、辞めるというのか…」どこか寂しげな表情を浮かべた東条に向かって、西条は一礼すると微笑んだ。連合国との和平は成るか?大河シミュレーション戦記、堂々の完結編。
著者等紹介
林信吾[ハヤシシンゴ]
ロンドンで「欧州ジャーナル」を創刊、初代編集長。ノベルズだけではなく、ノンフィクションの分野でも活躍
清谷信一[キヨタニシンイチ]
軍事ジャーナリスト
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