出版社内容情報
平原卓[ヒラハラスグル]
著・文・その他
内容説明
哲学入門の次はコレを読め!知識だけじゃない哲学的思考を身につける。プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル、ニーチェ、ヴィトゲンシュタイン、フッサール―古今の哲学者たちはいかに考えたか。
目次
序章 哲学の方法―より深く考えるために(哲学のイメージ;哲学の種類 ほか)
第1章 本質の哲学―「対話」という方法(哲学の始まり―タレス;イデア説 ほか)
第2章 道徳と良心―自由と善をつなぐもの(根本問題。いかに自由と善を両立できるか;カント―道徳の哲学 ほか)
第3章 共通了解―言葉と可能性(ヴィトゲンシュタイン―分析哲学の創設者;言葉、可能性、共通了解)
著者等紹介
平原卓[ヒラハラスグル]
1986年北海道生まれ。早稲田大学文学研究科修士課程修了(人文科学専攻)。哲学者。哲学解説ウェブサイト「Philosophy Guides」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小木ハム
15
"哲学入門の次に読め"と帯に書かれている通り、文章は易しいながらも言葉の意味を噛みながらだとなかなか顎に堪えるスルメ本。章の頭に『この章を読むことで身につく哲学的思考』と箇条書きされているのがぱっと見で分かり易く良かったです。自分は特に第二章の道徳と良心を中心に拝読。『道徳』とは外的で、盲目的なロマンを記した看板。固形である。『良心』とは内発的で、個人の妥協と努力によって造られる善の仮面。水のような無形である。そのように受け取りました。人類の歴史は共通了解のキャッチボールだったのかなぁ、とふと思う。2019/06/23
乱読家 護る会支持!
6
カトリックとプロテスタントの宗教対立、自由主義と共産主義のイデオロギー対立など、人類は本質的価値観の対立、信念対立を繰り返してきた。哲学の思考は「正解命中型」から「共通理解創出ー刷新型」に転換してきた。その為の方法は、現象学的還元と本質直感。 各哲学者の思考理解には、その時代背景の理解が必要。その時代の常識や価値観が崩れ始め、共同体内外に争いが起きる時に、著名な哲学者が現れるらしい。 今の日本はまさに哲学的議論をしないといけない時。真に平和を守る方法は?国家の役割は?人を育てるとは?命の値段は?などなど。2018/08/26
ハル
5
今こそ、哲学の出番ではないか。一部の学者だけでなく、もっと広く、皆がその知を共有出来たら戦争だって止められる。哲学には、それをする人間には、その力がある筈なのだ。哲学とは何か。その始まりと、どんな歴史を背景に進展してきたかを知れば、感動と共にそんな思いも湧いてくる。この世界の全て、人の営みは私達自身の観念が作り上げている。それなら、その観念から相互に了解出来るポイントを探っていくこと、そのための努力をやめなければ困難な問題も乗り越えられるかもしれない。善く生きるためにも正しく考える方法を学ぶべきなんだ。2023/06/21
Kao
2
哲学は知のマニュアルではなく、本質の共通理解を求める方法を示すと同時に、その営み自体であるということを哲学史を振り返りながら語られた本。もっと背景知識があったほうが理解は深まるのだろうなーと思いつつ、哲学に興味をもつ一冊としてはよかったかも。哲学の目的は本質の共通理解。本質については信念対立は必然。(なぜならみんな見えている世界が違うから。)自分の経験値などに基づいた概念を対話をしながら他者と共有し最終的には共通理解を導くというプロセス自体が哲学というのがとても興味深かった。2020/03/15