出版社内容情報
小谷野敦[コヤノアツシ]
著・文・その他
内容説明
明治維新とは攘夷をやると思わせて、討幕を行った詐欺である!難解な幕末・維新を司馬小説を通して再考する!
目次
司馬遼太郎から学んだこと「言いすぎてはいけない」
私の司馬遼太郎
幕末と「攘夷」
攘夷を掲げて維新をやり攘夷をやらなかった詐欺
西郷隆盛は偉人か?
『坂の上の雲』より、『ポーツマスの旗』
『胡蝶の夢』と司馬凌海―あるお伽噺
江藤新平と乃木希典
明治維新型だった太閤秀吉
中国が舞台の司馬作品
司馬における女性
司馬を愛する作家たち
「歴史小説」の終わり―小説やドラマの宿命
思い出
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962(昭和37)年生まれ。作家・比較文学者。東京大学文学部英文科卒業、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
60
司馬遼太郎の幕末明治物についての本。たのく読了。確かに時代は尊皇攘夷である。余談になるが、司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読むと、子母澤寛が『新撰組始末記』で書いた通りには書いていない。私の記憶が正しければ、美男だった土方歳三や原田左之助をハンサムにしていない。ヒラメ顔だった沖田総司を美男に書いている。丸顔だった山南敬助を頬のこけた陰気な男に描写している。子母澤寛の新撰組物には実録に見せかけた創作が多いと言われ、近年の研究家に暴かれているが、司馬はそれを執筆の段階で見抜いていたのではないかと思えてならない。2018/02/13
てつ
49
筆者は同級生。多少ではあるが関わったことがある。自伝には私のことも比較的好意的に書いてくれている。そんな縁で何冊か氏の著作をよんでいる。この本は幕末から明治の知識がないと読み込めない。自分には知識が足りず、理解できないことも多かった。共感できることも少なくないのだが。2019/01/05
金吾
30
スローガンと実態は全く異なることは空気に支配されやすい日本においては多々ある話であり、尊王攘夷もその一つなのだろうなと思います。一番よかったのは年表であり、ある時期の多作ぶりに超人だと感じました。全体としては司馬遼太郎さんに寄りかかった一冊でした。2022/01/10
kokada_jnet
23
司馬遼太郎の小説の問題点を、猫猫先生らしく、細かく指摘していく一冊。『胡蝶の夢』での、主人公・司馬凌海の、天使みたいな描きかたは、自分も非常に気になっていた。江藤新平を主人公にした「歳月」が、いい作品であることも、同感。2018/02/15
軍縮地球市民shinshin
14
司馬遼太郎は国民作家だが、実は一冊も読んだことはない。本書は幕末・維新期の司馬の作品から説き起こした著者の幕末維新論のようなもの。西郷隆盛が精神論だけというのは、同意見。勝海舟の操練技術も未熟だというのは、冷静に考えれば分かる。海軍の父と呼ばれているのが、実力は伴っていなかったということか。2018/03/12