内容説明
日本人人質が殺害された後、診察室では恐怖で心をうち震わせて涙をこぼす人が大勢いた。心を病んだ患者さんばかりではない。彼らが感じた恐怖を私も感じた。決して相手が見えないからではない。「敵」の姿は見えている。それにもかかわらず、この得体の知れない恐怖心はなんなのか。「イスラム国」の残虐さは私たちの想像を絶する。テロリストはなぜそこまで残忍になれるのか。なぜ世界中から多くの若者が「イスラム国」を目指すのか。私たちの心に起こっていることを導きの糸に、これらの疑問に精神医学の立場から考える。
目次
プロローグ 「イスラム国」の映像を見る人の心に起こっていること
第1章 なぜ若者は「イスラム国」を目指すのか
第2章 残忍さを精神医学で考える
第3章 憎悪の社会心理学
第4章 住民支配の心理戦術
第5章 ネット新時代のテロ組織との交渉
第6章 思考が停止した日本国と日本人
第7章 「ポスト9・11」のテロ組織
第8章 脱洗脳、そしてテロ組織からの帰還
エピローグ 「イスラム国」問題は現代社会の問題
著者等紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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