内容説明
「正義を実現しようとする人は、無自覚のうちに『ファシズムの罠』に絡め取られてしまう―」先人たちの思想がもたらした光と影。
目次
序章 かくも劇的で非合理な世界
第1章 政治はこうしてできている
第2章 保守か,革新か―二つの政治思想を考える
第3章 民主主義が最良だなんて誰が言った?
第4章 本当に恐い全体主義
第5章 正義はやがて、狂気に変わる
第6章 本当の「正しさ」とは何だろうか
著者等紹介
岩田温[イワタアツシ]
秀明大学助教。1983年埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。同大大学院政治学研究科修了。拓殖大学日本文化研究所客員研究員、拓殖大学客員教授などを歴任。2009年より現職。専攻は政治哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トラ
10
素晴らしかったです。様々な知識人のコメントを最初に紹介してから、それを現代の卑近な例に当てはめることで非常に納得がいく論説となっています。政治哲学とはかくあるべきなのではないか、と思いました。また、執筆当時著者は27歳と若かったため、引用する例も若年層にとって親しみやすいもので、そこもとても好みでした(例えば『DEATH NOTE』等)。2018/05/19
Haruka Fukuhara
10
著者は1983年生まれの政治哲学者。早稲田の政経(学部・院)を出た後に拓殖大学日本文化研究所客員研究員・拓殖大学客員教授(!)を経て秀明大学助教。大学のポストってわかりにくいけど、客員教授よりも正規の助教の方がいいポジションなのかな…?? 内容は政治哲学入門というか政治哲学を紹介しつつ著者の見解を手広く語っている感じで、読みやすく興味深かったです。政治学の本というのはだいたい偏ってるものですが、普通は左方向に逸れているものが多いところ、この本はやや右方向に傾斜しているので何だか新鮮な感じがしました。2017/07/02
Honey
9
政治哲学入門書かもしれませんが、 古典の名言を面白いエピソードとともに拾い読みできて、 しかも、現代日本社会の問題とも関連付けられた解説あり、 楽しく教養を身につけつつ、これからの日本人のあり方のヒントとなる一般向けの価値ある1冊と思います♪2018/02/22
えんど
6
政治とはなんぞやというのを考えるきっかけになる本だった。人間は弱いので強くなるために他者を作り区別するんだなと思った。【学び】* 政治が人間の全ての事象を包括しうる現象なので、文学的行為は政治を避けられない* 政治という現象は友敵という区別である* 垂直的共同体として国家を強く意識し、守る立場を保守主義* 国家とは外部からの侵入を防ぐ閉鎖的な共同体で、外部に対して攻撃的な共同体* 共同体は想像力の産物* 人間は何かに帰属して、他者と区別することで安心感をえる生き物2020/05/12
oDaDa
5
政治学は政治科学と政治哲学に分かれるが、政治哲学は哲学を基礎に、文学的な要素も含んでいる。岩田氏は保守という立場であるが、それはフランス革命時の国民公会で、右側に座っていた「右翼」で、人間の理性に懐疑的な思想に収斂する。よって岩田氏は巷の保守派とは一線を画す。解説で佐藤優が指摘するように、例えばボランティアという行為は左派的であるとされるが、岩田氏は左右のイデオロギーを超えて「翼賛」的に行うべきとする、同胞が苦しんでいるとき、自分に何ができるのか問いかけることもナショナリズムの一つの形態であると。2014/08/16