出版社内容情報
選挙のたびSNSに溢れる情報に惑わされないためにはどうすればよいか? 2024年兵庫県知事選でのSNSの影響を検証しつつ、「自立」の考え方を戦後の思想から学ぶ。今夏の参院選に向けて。
内容説明
二〇二四年一一月の兵庫県知事選では、選挙前の予想を覆し斎藤元彦氏が再選を果たした。そのとき、SNSではいったい何が起こっていたのか?SNS選挙の構造と危険性を検証するとともに、ネット上に溢れる情報との向き合い方を「自立の思想」を論じた吉本隆明の言葉から考える。虚実入り混じるSNS選挙の時代に私たちは何を信じればよいのか?
目次
第一章 SNS選挙の問題点
第二章 兵庫県知事選を振り返る
第三章 ストーリー参加型選挙の危険性
第四章 戦後最大の思想家・吉本隆明
第五章 偽りのストーリーを破壊する
第六章 自立の思想
著者等紹介
物江潤[モノエジュン]
1985年、福島県喜多方市生まれ。早稲田大学理工学部社会環境工学科卒業。東北電力、松下政経塾を経て、社会批評を中心に執筆に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
24
SNSが選挙にもたらした変化を明らかにし、これからの選挙において有権者一人ひとりが考えるべき課題を問い直す1冊。SNSでの拡散力が得票に直結する今、インフルエンサーや動画配信者の影響力が選挙戦に明確な効果を及ぼし、候補者にとってバズることそのものが戦略の一部となっている。SNS選挙の問題点を踏まえて兵庫県知事選挙を振り返り、ストーリー参加型選挙の危険性を考察しながら、戦後最大の思想家・吉本隆明が説いた「自立の思想」に立ち返っていく内容になっていて、こういう時代だからこそいかに自分を客観視できるのかですね。2025/07/22
崩紫サロメ
12
タイトルと最初に扱われる話題はSNS選挙であり、兵庫県知事選挙であるが、それは少し前の小泉純一郎の「劇場型政治」のも見られたし、人間がストーリーを求めることは有史以来変わらない。ストーリーの氾濫と熱狂に危惧を覚える筆者は吉本隆明(1924〜2012)が全共闘時代に発した警告に着目する。当時の過激化した新左翼を現代のSNS上の先鋭化した集団に重ねると、吉本の「何も信用しなくてよい。自立せよ。自分の頭で考えよ」というメッセージは現代においても意味を持つのではないか。2025/08/24
まゆまゆ
12
SNSを活用した選挙戦略は最早当たり前になりつつあるが、そこから発信される情報に基づいて交わされるやりとりを信用できるのか、今一度立ち止まって考えることを語る内容。戦後の思想家である吉本隆明の主張のように、論理的にでも筋が通らない主張を真に受けることなく、自分自身がこれまで見聞きしてきた内容に基づいて判断すること。これまで見えていなかったことが見ようとすると陰謀論に巻き込まれ、心地よいストーリーに毒される(笑)2025/07/28
どら猫さとっち
9
選挙にSNSが利用されるようになり、政治が身近になった。しかし、溢れかえる情報に左右される、投じる一票のためにデマも厭わないという、真贋が問われることが多い。石丸伸二や斎藤元彦もそれで多くの票を集めたが、問題が浮上しだした。SNSに騙されず自ら考えるには、どうしたらいいか。本書は「自立の思想」を論じた吉本隆明の言葉をひもとき、必要なことは何かを説く。これはこれで興味深いけど、吉本隆明の政治学として独立して論じてもよかった気がする。2025/09/01
A
4
SNS選挙は陣営の描くストーリーに参加できてしまう。その危険さはわかった。しかし吉本氏の、大衆としての自立は理解できなかった。自分の生活は政治や情勢にかかわっているではないか。2025/09/04