出版社内容情報
『源氏物語』には登場人物が詠んだ795首もの和歌が収められている。その中から物語を象徴する100首を厳選。物語の大筋をつかみながら和歌の鑑賞も愉しめる一冊!
内容説明
もはや世界遺産レベルともいえる古典「源氏物語」には光源氏や藤壺、紫の上などの登場人物が詠んだ七九五首もの和歌が収録されている。本書ではその中から物語を象徴する百首を厳選。物語の大筋をつかみながら和歌の鑑賞も愉しむことができる一冊。恋の歌、嫉妬から生じた歌、人生の儚さを表現した歌…。歌の内容を理解すると物語がより身近になる!
目次
序章
第1部(桐壺きりつぼ;帚木ははきぎ;空〓うつせみ ほか)
第2部(若菜 上わかな じょう;若菜 下わかな げ;柏木かしわぎ ほか)
第3部(匂兵部卿におうひょうぶきょう;紅梅こうばい;竹河たけかわ ほか)
著者等紹介
木村朗子[キムラサエコ]
1968年生まれ。津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科教授。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了。専門は、言語態分析、日本古典文学、日本文化研究、女性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pohcho
47
源氏物語に収録された795首の和歌のうちの百首を紹介「限りとてわかるる道のかなしきにいかまほしきは命なりけり」一番最初に出てくる歌は光源氏の母・桐壺更衣の辞世の歌。儚げな彼女からは想像も出来ない「生きていたい」という激しい想いにハッとさせられる。昔、現代語訳は読んだけど和歌の部分は読み飛ばしてたかも。でも、登場人物の胸に秘めた思いや真実の気持ちは和歌の中にあったんだなあと。歌にあわせて物語のあらすじや解説もあり。順を追って五十四帖まで紹介されていて、忘れてる部分や新たに知ることもあってとても楽しく読んだ。2024/03/22
双海(ふたみ)
11
795首の和歌を内包する『源氏物語』。それぞれの歌は登場人物のパーソナリティーをうまくとらえている。本書はそのなかから100首を厳選し、現代語訳や意図などをわかりやすく解いている。『源氏物語』の原文や現代語訳を読むときに手元に置いておきたい1冊。今年、『源氏物語』を読み返した。紫の上の「惜しからぬ命に代へて目の前の別れをしばしとどめてしかな」が忘れ難くいつも思い出される。2023/12/24
tyfk
6
和歌を考える上で源氏物語は避けられないようなので、和歌を中心に源氏物語を読むのにむけた入門書として入手。795首から選ばれた100首の解説だけでなく、それを含めた源氏物語の要約になっている。その類としては角川ソフィア文庫ビギナーズに続く二冊目だけど、思いのほか密度が濃い印象で、読了に時間がかかった。物語としての構造の要所に「物の怪」があるのかな。p.112に誤植「露忘れらぬ」。2024/04/12
k
2
序章で語られる「源氏物語」の誕生の背景と読み継がれた背景がわかりやすいし、おわりにの「物語二百番歌合」の話も面白かった。鎌倉時代には注釈書やダイジェスト本が作られていたことに驚く。「深草の〜」の歌は見覚えがあって調べると古今和歌集の歌で、光源氏がつぶやくことでも有名とあった。本当に古今和歌集の引用が多い印象だったけど、それも普通の事とのこと。「源氏物語」の読者も当然知っているのだろう。ますます解説がないと和歌を味わうのが難しいのかと思ってしまったが、頑張って現代語訳を読もう。2024/03/20
ゆきんこ
2
源氏物語で詠まれている和歌が795首もあることに、まずびっくり。中には本歌取りや下敷きにしている和歌もあるにせよ、それだけの歌を物語の中で詠ませているのが凄い。物語の面白さは勿論あるけれど、それだけではなくて、節目節目で詠まれる歌の味わい深さが、より一層、物語に奥行きを与えていたんだな、と。読み手の想像する幅を広げてくれる役割も、和歌にはあるのかもしれないなぁ…とふと思う。2024/03/19