出版社内容情報
『親愛なるものへ』『高校教師』……。野沢尚、野島伸司らによって新風が吹きこまれた90年代。これらの作品に改めて光を当てる。
藤井 淑禎[フジイ ヒデタダ]
著・文・その他
内容説明
テレビドラマがもっとも輝いていた時代、それは脚本家が主導権を握っていた時代と言い換えることもできるかもしれない―。『親愛なる者へ』『高校教師』『白線流し』…。野沢尚、野島伸司らによってドラマ界に新風が吹きこまれた九〇年代。かつて「ドラマ学」を提唱した著者が、九〇年代のドラマに光を当て、再評価を試みる。
目次
「ドラマ学」の出発
「ドラマ学入門」の頃―『その気になるまで』『君と出逢ってから』
NN(野沢・野島)時代の幕開け―『親愛なる者へ』
もっとも文学に近づいたドラマ―『高校教師』
テレビ革命とドラマ―『青い鳥』『恋人よ』
ロケ地めぐり・いまむかし―『若葉のころ』『スウィートシーズン』
伝統につながる―『白線流し』『私の運命』
千秋に続く女性たち―『ひとり暮らし』『彼女たちの時代』
トレンディドラマへの注文―『ビューティフルライフ』『ロングバケーション』
サスペンスの誘惑―『眠れる森』〔ほか〕
著者等紹介
藤井淑禎[フジイヒデタダ]
愛知県豊橋市生まれ。立教大学名誉教授(専門は日本近代文学・文化)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
63
当時テレビっ子だったので、懐かしく読んだ。今のドラマは類型をなぞっているものが圧倒的に多くて、ほとんど見なくなってしまった。シナリオライターの地位が90年代以前は高かった、という指摘にはうなずけるものがあった。ラテ欄に名前が載るような若いシナリオライターの名前が今はすぐ思いつかないのだもの(私が不勉強なだけかもしれない)。テレビドラマも一種の芸術だと思うので、このような考察は進めてほしい。2018/04/02
akihiko810/アカウント移行中
21
野沢尚、野島伸司脚本作品を筆頭とする、90年代テレビドラマの解説と考察。印象度B+ 著者は立教大学で、「ドラマ学」の講義を担当した教授。90年代の頃は子供だったので、多分私はドラマを見てない。あと聞きして存在を知ってるだけ。 90年代半ばに質量ともにピークを迎えたというテレビドラマ。なかでも野沢尚脚本「親愛なる者へ」(92)は、「漱石の文学作品に匹敵する」と著者は言う。そんなにすごいドラマなのかね。同時期のトレンディドラマは腐し、03年の韓国ドラマ「冬ソナ」の郷愁に当時の日本ドラマの敗北をみる、など2024/03/07
はしむん
6
本屋さんで立ち読みしてまえがきが面白かったから読んだのだけど、本編は浅い分析でつまらなかった。売れたドラマを叩いて何か語った気になってる残念な大学教授。この人の授業を受けて感化された人もいるのだろうと思いまた悲しくなった、 2018/12/25
スコットレック
5
「親愛なる者へ」(本書で紹介されている野沢尚脚本のフジテレビのドラマ)を凌駕する現代小説がいくつあるのか、という論調がわりと序盤で出てきてそれで一歩引いてしまった。映像、音楽のあるドラマと、読む上で自身の想像力を使う部分が大きい小説とでは闘う土俵が違うと自分は思うのですが、そこで熱っぽく語られても・・。 本書で語られているドラマ、タイトルや主な内容は知っていてもどれも未見のものばかり。一番面白そうだと思ったのは、著者の方が下降期だと位置付ける「眠れる森」でした。2021/06/22
nadaha
5
面白いテーマだし、なかなかに新しい試みだと思うんだけど人気のある作品を叩けばいいっていう感じがしたのがちょっと残念ではあった。カウンターカルチャーだから好き、人気のある作品とジャンルを引き合いに出して貶めとけ、みたいな残念なオタクのにおいがした。野沢尚、野島伸司の作品が面白いのは実際そうなんだけど。ドラマだって商業ベースなんだから人気出なきゃ意味ないんだし、引きを強くするのは間違ってないと思うし、トレンディドラマはそれはそれで面白かったと思うんだけどな。迎合して面白いドラマが少なくなったのは事実だと思う。2018/06/22