出版社内容情報
没後10年にあたり、村上春樹ら多くの作家や、他の漢和辞典への影響を様々な資料から跡づけ、その新たな魅力と広がりを紹介する。
まえがき
第一章 白川静と文学者たち
宮城谷昌光の出世作『天空の舟 小説・伊尹伝』
神の杖を持つ人/頭蓋骨の「白」
栗田勇『一休 その破戒と風狂』
孔子と「狂狷」/大きな鉞の頭部の刃/対極者の力をよび起こしながら
高橋睦郎『遊ぶ日本 神あそぶゆえ人あそぶ』
神のように自在に行動/藝に遊ぶ
石牟礼道子『不知火』と「?」
一足の神で、楽祖
李良枝の遺作長編『石の聲』
石をうって舞い踊る
辻原登「「人類」はファンタジー」
歌を残したい/すごく想像力をかき立てられる
村上春樹『アフターダーク』「今でも耳は切るのかい?」
犯人は白川/高橋和巳とS教授/ああ、中華料理。いつも同じだよ
『スプートニクの恋人』と中国の門/殺された「犬」の血がかけられる
『1Q84』と「呪術的な洗礼」/浮かぶか沈むかを見てみろ/「兄」と「妹」
空中にある架空の箱/〈声を聴くもの〉/耳を澄ませて、神のお告げを聴く
第二章 白川静『字統』と諸橋轍次『広漢和辞典』
「右」という字/「新」「薪」「親」/神様への祈りの祝詞を入れる器
「器」――白川静の説/他の字書、辞典の説/白川静の解釈に近い
原因は『広漢和辞典』/突然の変更/『大漢和辞典』のコンパクト版か?
『大漢和辞典』に従わず/「君」という字について
「????」「師」「追」「遣」「官」「館」「歸」(帰)/丘のかたち――白川静以外の説
神霊やどる祭肉/肉をたずさえ軍が征途に/体系性と一貫性
「夭」「笑」「咲」「妖」「殀」/「若」「諾」「匿」/『説文』も誤った解字/狂舞する巫女
呪術的解釈/姉妹編?/近時の甲骨金石学研究/知的財産の保護
第三章 白川静の弁証法的思考
否定者によって、止揚される/弁証法的思想家/?除道?の文字
中国の形而上学的思惟の創始者・荘子/道路における呪的行為
「道術」から「道徳」へ/転倒した死者/古代中国最高の思想「真」
「殺される王」/焚殺される巫祝/殷の末裔、司祭者の系譜/「手かせ」と「幸」
「批判について」/「くわだてる」と「企」/原始語の日本語、ニュアンス豊かな日本語
どんどん原稿がふくらんで/自他を包む中にあって、自己を区別
第四章 人間・白川静
お茶目で楽しい人/「修羅シュッシュッシュッ」/二・二六事件
小泉苳三との邂逅/戦後の〈民主化〉/「白川静伝説」と「孔子伝」/僕の日課なんだ
「漢字の体系」/子供たちに、漢字を教える先生たちに
第五章 ほんとうの碩学?白川静
「右」と「左」を合わせた文字/間違いの多い戦後の文字改革/「臭」と「嗅」の混在
何らの標準もなく/誤りを正統として生きる/漢字は「歴史の通路」
「許慎はスゴイよ!」/内藤湖南への深い尊敬/仕事も方法も独創
先生の頭を踏んで進んでいく/「東洋」について/同一の原初的な宗教、信仰
「東洋」と「西洋」/奇数の中国、偶数の日本/中国の「一」から「十」
九鬼周造『「いき」の構造』/「????」と「辰」/歸?の禮/真実の追究
あとがき
小山 鉄郎[コヤマ テツロウ]
著・文・その他
内容説明
古代世界に遊び、漢字の真の意味と成り立ちを追い求め、新たな文字体系を打ち立てた狂狷の人、白川静。二・二六事件の際に詠まれた短歌や様々なエピソードからその人物像に迫る一方、石牟礼道子、宮城谷昌光、村上春樹ら多くの作家への影響や、諸橋漢和辞典との比較を具体的な事例で概観する。
目次
第1章 白川静と文学者たち(宮城谷昌光の出世作『天空の舟 小説・伊尹伝』;栗田勇『一休 その破戒と風狂』 ほか)
第2章 白川静『字統』と諸橋轍次『広漢和辞典』(「右」という字;「新」「薪」「親」 ほか)
第3章 白川静の弁証法的思考(否定者によって、止揚される;弁証法的思想家 ほか)
第4章 人間・白川静(お茶目で楽しい人 ほか)
第5章 ほんとうの碩学、白川静(「右」と「左」を合わせた文字;間違いの多い戦後の文字改革 ほか)
著者等紹介
小山鉄郎[コヤマテツロウ]
1949年生まれ。一橋大学卒業、73年共同通信社入社。84年から文化部で文芸欄、生活欄などを担当。現在、同社編集委員兼論説委員。白川静に学んだ文字学の基礎を2003年より10年以上にわたり新聞に連載。その功績等により、13年度日本記者クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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