出版社内容情報
なぜ日本人は日記好きなのか。古代天皇の行動を記録した実録にまで遡り、どのように日記文化が広がっていったか。その変遷をたどる。
《目次》
序章 日記の文化史へ …………7
日記の危険な魅力/『政治家の文章』/『アンネの日記』をめぐって/戦後の日記ブーム/文化史への回路/日本人は日記好き?/社会の記録と内面の反省/アミエル『内面の日記』/ドナルド・キーン『百代の過客』/「日記」の歴史地図/大雑把な見渡し
第一章 公権力は、なぜ、日記を必要としたか…………41
古代王権の日録/「日記」の語源/皇帝の日録/天皇の御記/公卿の日記/有職故実書の編纂/『御堂関白記』/女房日記と史書/官記の途絶/公卿日記のなかの夢/『明月記』のことなど/争乱期の史書/徳川幕府による制度整備/近現代の天皇実録
第二章 古代──私的「日記」の多様な展開…………79
日録と回想記の多様性/遣唐使の日記/僧侶の夢記/仮名日記の実際/『紫式部日記』/光源氏の「絵日記」/『土佐日記』/『かげろふ日記』『更級日記』/『和泉式部日記』/その後の女手「日記」/「日記文学」は虚構のジャンル
第三章 中世紀行文の成立と展開…………117
紀行文の成立/『方丈記』のこと/『海道記』『東関紀行』/室町時代の旅日記/宗祇『筑紫道記』/芭蕉の旅と俳諧
第四章 近世──旅日記と暮らしの日記…………137
近世へ/井上通女『帰家日記』/荻生徂徠『風流使者記』/遊女の旅日記/紀行文の雑記化/長崎紀行──梅園、江漢、松陰/御畳奉行の日記/大田南畝『細推物理』/曲亭馬琴の日録/幕末の女国学者/「随筆」の用法/江戸時代の古典分類
第五章 近代の日記…………171
日記に近代化の諸相を読む/『米欧回覧実記』/『小梅日記』/植木枝盛日記/日記帖の発売/明治後期、各階層の日記/知識層/庶民層/ふたりの女性/募集一日記事/『ホトトギス』募集日記が語ること/自然の日記──独歩、蘆花、藤村/日記体小説のこと
第六章 日記の現代へ …………221
修養の季節/独歩『欺かざるの記』/日記の発表/正岡子規と清沢満之/啄木『渋民日記』と管野須賀子の獄中日記/阿部次郎『三太郎の日記』/生活芸術としての日記/本間久雄『日記文の書き方』/絵日記を支えた理念/「日記文学」の発明/「私小説伝統」の発明/「記録文学」のこと/夭逝者の日記/情報化と日記
あとがき…………281
参考文献…………284
鈴木 貞美[スズキ サダミ]
著・文・その他
内容説明
日本人は日記をつけるのが好きだといわれる。日本文学研究の第一人者ドナルド・キーンは、大戦期、戦場に大量に遺棄された日記を翻訳した際、日記が日本人の心に深く根づいていることを感じたという。では、なぜ日記をつける文化が日本人に広がっていったのか。本書では、「日記文化」の淵源を古代の宮廷文化に探りつつ、時代時代で日記がどのように展開していったか、その書き方や概念の変遷をたどっていく。
目次
序章 日記の文化史へ
第1章 公権力は、なぜ、日記を必要としたか
第2章 古代―私的「日記」の多様な展開
第3章 中世紀行文の成立と展開
第4章 近世―旅日記と暮らしの日記
第5章 近代の日記
第6章 日記の現代へ
著者等紹介
鈴木貞美[スズキサダミ]
1947年山口県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。国際日本文化研究センターおよび総合研究大学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
tamami
こぽぞう☆
浅香山三郎
keint