平凡社新書
靖国参拝の何が問題か

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  • サイズ 新書判/ページ数 207p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582857467
  • NDC分類 175.1
  • Cコード C0214

出版社内容情報

靖国神社の先の戦争は「聖戦」だったという歴史認識を問題にしている。端的に示される靖国問題の本質。

内容説明

日本の首相が靖国神社を参拝すると、中国、韓国をはじめ、世界各国がこれを批判する。一国の首相が自国の戦死者を追悼・慰霊することに何の問題があるのか?―問題はある。靖国神社が、A級戦犯合祀や遊就館の展示で端的に主張する歴史認識=「先の戦争は正しかった」。首相の靖国神社への参拝は、この聖戦史観を支持し、戦後の平和秩序をご破算にする思想である。

目次

第1章 靖国神社参拝の思想(安倍首相の靖国神社参拝への途;何が問題なのか;歴代日本政府の歴史認識と靖国の歴史認識;マスメディアの覚醒;自民党改憲草案と靖国神社参拝の思想的水脈)
第2章 靖国神社の「聖戦」史観(無断合祀による戦死者の魂独占の虚構;靖国神社の「神々」の実態;遊就館展示の兵器が物語るもの;「特攻平和会館」で涙を流すだけでよいのだろうか)
第3章 靖国神社が生き延びたカラクリ(死者への想いに依拠して生き延びた靖国神社;昭和天皇と靖国神社参拝;靖国神社と援護行政)
第4章 東京裁判は、勝者の裁きか(八月一五日の連続性と断絶性―ドイツ五・八との比較;東京裁判は勝者による断罪か?;東京裁判否定運動としてのA級戦犯合祀)
第5章 国立追悼施設を創る―非業、無念の死を強いられた死者たちの声に耳を傾けよ(死者たちを追悼する;国立追悼施設)

著者等紹介

内田雅敏[ウチダマサトシ]
1945年生まれ。早稲田大学法学部卒業。弁護士。関東弁護士連合会憲法問題協議会委員長を経て、現在、日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。西松安野友好基金運営委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bansheebeat08

5
靖国神社に参拝して近隣諸国を刺激する政治家の歴史観を快く思っていなかったし、中韓の猛反発も然もありなんとは考えていたけれど、靖国神社そのものが、「聖戦史観」に基づくことでしか自我を保つことのできない機関であるという視点は持っていなかった。著者は、残された者たちが、兵士の非業の死を讃えることの、死者に対する暴力性を見抜いている。 「ただひたすらに追悼し、決して死者を称えない。称え、感謝した瞬間から死者の政治利用が始まり、死者を生み出した者の責任があいまいにされる。」(p.187)2015/05/12

hr

3
靖国神社のシステムを「無断合祀による戦死者の魂独占の虚構」と説明していて、分かりやすい。死者にとっての死を、死者から取り上げる行為だと思う。そして靖国は、遺族からの合祀取り下げ要求にも応じないらしい。他人の死に無断で意味を与えるこれは「暴力」なのではないか。安倍首相の靖国参拝と集団的自衛権行使の閣議決定を「中国の軍拡派にプレゼントを与えた」と説明する著者。今年の安保法制の流れにはどんな論評を加えるだろうか。2015/07/26

イカ

1
靖国神社の歴史認識を批判した本である。批判することは自由なのだが、その批判対象になっている靖国史観を主張することもまた自由なので、この種の批判は一方的な感情の吐露に終わりやすい。歴史認識を中心に論じるのは良いが、憲法との関連について簡単にでも触れておく必要があったのでは。①改正宗教法人令(1946年)によって戦前「非宗教」として国民に強要された国家的宗教施設はすべて私立の宗教法人とされた。②憲法20条、89条で国家と宗教の厳格な分離が定められた。この①②を受け入れた責任が果たされていないという問題である。2020/08/19

SK

1
262*A級戦犯の合祀云々ではなく、靖国神社の「聖戦」史観こそが問題であるとする。『靖国神社の「神々」の実態』として、東条英機など靖国神社に祀られている「神々」が、いかに生命軽視の振る舞いをしてきたかが明かされる。また、安倍首相の行動が、中国軍拡派への贈り物になっていると指摘している。引用が長すぎたり、唐突だったりする。また、『春夏の例大祭』や『八月十五日の連続性と断続製』といった誤った記述がある。「急遽の出版」とのことなので、あまり校正されていない模様。2016/10/13

ネコ

1
靖国参拝問題の本質は、その歴史認識にある。戦没者の中には、無謀な作戦のために餓死や戦病死したり、上官の理不尽な命令で非業の死を強いられたりした人たちもいた。そのような人たちに対しては、ひたすら追悼あるのみで、決して、彼らに感謝したり、彼らを称えたりしてはならない。彼らは、本心から、靖国で会おうと思っていたのだろうか?親や家族のもとで眠りたいと思っていたのではないだろうか。2015/08/25

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