平凡社新書
経済ジェノサイド―フリードマンと世界経済の半世紀

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  • サイズ 新書判/ページ数 295p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582856668
  • NDC分類 331.04
  • Cコード C0233

出版社内容情報

フリードマンの「ショック療法」がイデオロギー化する過程を分析し、新自由主義が世界経済を席倦した50年を総括。経済ジェノサイドの果てに、経済学(者)が果たすべき社会的責任と使命とは何か。

内容説明

「ショック療法」の主唱者ミルトン・フリードマン―彼の経済理論は「人類のために最大の貢献」をしたとされ、一九七六年にノーベル経済学賞という栄誉が与えられた。だがそれは、最高評価に値する真の「発明」だったのだろうか。政治とメディアとの三つ巴で強引に推進された新自由主義的政策と、その帰結たる半世紀後の絶望的なまでに荒廃した世界状況を思うとき、そもそも経済学的権威とは何かと疑問を抱かずにはいられない。経済学の深い闇に鋭い批判的考察のメスを入れ、経済学者の果たすべき社会的責任と使命を問う。

目次

序章 経済学のオフリミッツ
第1章 何のための市場形成か―チリのクーデターと経済政策
第3章 社会的責任か、成長か―市場原理の例外としての企業
間奏 経済学の分岐点で
第3章 誰もそれを止められない―市場原理の例外としての貨幣
第4章 給料だけでは不十分?―所有者社会の夢と年金
終章 危機の時代にたたずむ

著者等紹介

中山智香子[ナカヤマチカコ]
1964年神奈川県生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授(グローバルスタディーズ)。ウィーン大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(社会・経済学博士)。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は現代経済思想、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

18
経済ジェノサイドとは物騒なタイトルだが、ミルトン・フリードマンとその弟子シカゴ・ボーイズの推進した新自由主義が世界をどのように混乱させたかを表した言葉。ミルトン・フリードマンが「資本主義と自由」で主張した新自由主義がどのようなものなのか、どのように世界を混乱させたかをガルブレイス、スティグリッツなど批判派の言説も引用しながら描写していく。経済ジェノサイドが世界を荒らし、フリードマンが夢見た経済成長も夢となった今、末尾のカール・ポランニーに関する文章は今後の経済学を考える上で参考になろう。2018/11/26

NO MORE MR.NICE GUY

3
要再読。やや難しかった。フマニタスとアントロポスという分類は面白いのだけれど、そこをもっと深くやってほしかった。西谷さんの論文を読むかな。以下引用「ジェノサイド、いわゆる大量虐殺とは、銃剣や爆撃で身体を傷つけたり、生命を奪ったりすることだけを意味するのではない。人々の暮らしの糧を奪い、あるいは過酷な労働を強いて生活を破壊し、健康な心身を失わせること、またその結果として生存のための犯罪を増加させ、社会を危機に晒すことも、間接的とはいえやはり「虐殺」の一種といえる」2014/09/13

sutekibito

2
経済オンチの私には、難しかった。しかし、経済思想史という分野には興味が湧いた。今日ほど、世界経済が私たちの生活や命さえにも、多大な影響を及ぼす時代は無いのだから、もっと学びたいとも思った。2015/02/02

乾良人(カムイ)

2
本書の中で著者が言及している「チリのクーデター(経済ジェノサイド)」が、現在の日本で進行しているところの「アベノミクス」の手法に類似していることに新鮮な驚きを抱きました。アベノミクスに肯定的な報道を繰り返すのと同様、チリに勃発したクーデターについて、当時のマスメディアは「チリの奇跡」と賞賛したことからも推察できます。端緒から新自由主義は、強者の論理に偏っているコーポラティズム型の統治だったことが、こうした歴史の流れからも理解できましょう。2014/09/21

Hiroki Nishizumi

1
外堀を埋めてフリードマンを批判するスタイルだったが、もっとストレートにフリードマンの問題点を論ってもらった方が良かったのでは?2020/11/13

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