内容説明
中野重治が亡くなって三十年が過ぎた。「中野が生きていたら、何と言っただろう」さまざまな出来事が起きるたびに、多くの人がそう思う。戦後も六十年以上を経過し、戦後民主主義も反戦平和も大きな変質を余儀なくされている現在、改めて中野の声に耳をかたむけたい。中野重治は戦後の日本をどのように生きたか。その作品をたどることにより、戦後日本を問い直す。
目次
序 反戦平和思想の文学者として
第1章 日本国憲法と天皇制
第2章 戦後文化運動のなかで
第3章 占領という現実
第4章 朝鮮戦争とサークル運動
第5章 中国の旅
第6章 戦後の転換点
第7章 一九七〇年代の思想
著者等紹介
竹内栄美子[タケウチエミコ]
1960年大分県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科単位取得退学。現在、千葉工業大学教授。日本近代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星野紗奈
2
入試関係であったほうが良いと思い、読むことに決めた。中野重治についてはほぼ名前しか知らないような状態だったが、興味深い内容だった。難しいと感じるところも多かったが、著者の意見に共感し理解できる部分も意外と沢山あった。彼の文学作品に彼の生き方や主張が大きく反映されていること、そして様々な問題の中で自分の筋を通して行動していたことを知ることができた。この本を読んで、いっそう近代文学について学びたくなった。2019/09/22
Francis
0
小説家・中野重治の文章を参照しながら戦後史を検証する。中野重治が誠実に現実と向き合ったことがわかる。と同時に彼も共産党員として冷戦の枠組みから逃れ得なかったことも理解できた。2012/09/03
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