内容説明
明治四年、日本最初の女子留学生として渡米した五人の少女たちがいた。六歳の津田梅子をはじめ、山川捨松、永井繁子らが体験した十年余のアメリカ生活とはどのようなものだったのか。そして日本語も忘れて帰国した後、近代化の荒波の中で、彼女たちはどう生き抜いたのか。初の帰国子女としての波瀾万丈の生涯と、女性として果たした偉業を明らかにする。
目次
アメリカの熱狂的な歓迎
異国の生活をはじめた五人の少女
異国に娘を留学させた親たち
五人の別離とアメリカでの新しい生活
女子留学生派遣後の日本の家族
帰国女子留学生の困惑と苦悩
捨松の結婚と梅子の孤愁
鹿鳴館に集う女性たち
自己の信念と孤高に生きる津田梅子
わが道を歩む女子留学生たち
津田梅子の夢を実現した私塾の創立
帰国三十年後の日々の移ろい
著者等紹介
寺沢龍[テラサワリュウ]
1935年大阪市生まれ。97年、会社勤めを定年退職後、文筆活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Akihiro Nishio
23
来月の学会会場が津田塾なので津田梅子さんを予習。明治4年異例なことに十年ものアメリカへの長期留学を果たした5人の女子学生がいた。いずれも旧幕軍家系出身。2人は早期に帰国したものの津田梅子、永井繁子、山川捨松は留学を終えて帰国。梅子は独身を貫き女子の自立のための教育に身を捧げ、繁子は留学中に知り合った日本人と結婚し音楽教員として仕事と家庭を両立。捨松は大山巌陸軍大将と結婚し、政治の中心から梅子を助ける。また親友のアリスは何度も来日して日本の女子教育のために貢献する。四者四様の人生。いずれも素晴らしかった。2018/11/08
なにょう
19
欧米では人民挙げて国を建つるのが知恵にこれあり……欧米では婦女子にも勉学をさせるものであり、従って日本からも年若い女子を選んで欧米に留学させ、後の世に役立てよう。北海道の開拓使長官の黒田清隆は発案し、政府に提案し、これが受け入れられた。5人の女の子たちは明治四年の11月に出国する。そのうち……津田梅子。まずはお国に恩返しすると結婚を諦める。大山巌の妻になった山川捨松。理想的な夫婦。永井繁子。20年間音楽教育に従事しながら7人の子供を生む。ザ・トリオ、10年近くの米国生活を完遂する。2018/03/08
おMP夫人
12
1871(明治4)年、岩倉使節団の一員としてアメリカへ留学した5人の女性を紹介した本なのですが、その人生は余計な脚色を加えなくとも十分に物語として成立していて、思わず「リアル朝の連続テレビ小説」と呼びたくなるほどのドラマです。上田悌子、吉益亮子、永井(瓜生)繁子、山川(大山)捨松、津田梅子、彼女たちのそれぞれの生涯は長い時間を経た今もなお、私たちに女性としての生き方を示してくれていると思います。小説作品ではないのに、感動する本でした。2013/01/29
ネムル
4
今更と思いつつも、『八重の桜』からの興味で読んだ。史実を列挙していくだけでさして面白みのない本ではあるが、綿密にまとめられているので悪くはない。2014/03/16
KIYO
3
【図書館】古本でも高額の読みたかった一冊です。津田梅子はじめ明治の女子留学生を扱った書籍が少なく、貴重な資料でした。新書のわりに読みやすく大山捨松や瓜生繁子などの最期まで書かれていて満足な一冊でした。2022/06/21