内容説明
戦前、民俗学者の岡正雄は南方の伝統的秘密結社が日本文化の深層に沈んでいることを指摘した。それは折口信夫の「まれびと」論につながる画期的な秘密結社論であった。しかし、戦後になってもそれはあまり顧みられなかった。なぜだろうか。日本に秘密結社はないのだろうか。古代から近現代にいたるまで、秘密結社という「消された歴史」をたどる。
目次
プロローグ―日本に秘密結社はあるか?
第1章 古代―神話の中の秘密結社
第2章 中世―遊行する神々と新仏教
第3章 近世―異形者・職人・芸能民
第4章 江戸―巨大なアンダーワールド
第5章 近代―天皇制と近代化の呪縛
著者等紹介
海野弘[ウンノヒロシ]
1939年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現在、美術・映画・音楽・都市論・歴史・華道・小説などの分野で多彩な執筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sibasiba
13
結社の同志的連帯のホモソーシャル関係の指摘がやたらと多いが著書にそれらしき書名があった。名前だけは有名な立川流だが今だによくわからないらしい。幕末は水戸天狗党と赤報隊の末路が印象的。昭和では『死なう団』が凄い。スローガンが「我が祖国の為に死なう!我が主義の為に死なう!我が宗教の為に死なう!我が盟主の為に死なう!我が同士の為に死なう!」で最期は警察の弾圧に抗議して国会議事堂前その他で切腹抗議で壊滅。オウムについてエピローグで触れられただけなのが不満。2014/04/11
岡本匠
9
これまであまり語られることの無かった日本の秘密結社について概観した内容。 そう言われてみれば秘密結社的であるという事象が結構あるもので、大塩平八郎の乱、油比小雪、秩父困民党などはわかりやすい。 仏教も秘密結社的な要素を持っているということは考えもしなかった。(確かに宗教というのはカルト化し易い。) 非常に刺激的で面白かった。2016/05/14
印度 洋一郎
4
日本の歴史の陰に存在した、いわゆる「秘密結社」を古代から現代まで紹介するという内容の本。着眼点は面白いのだが、本のボリュームに対して、範囲が広過ぎて総花的で薄口の内容に。鎌倉仏教や一向宗も登場した当初は既存の仏教からはカルトみたいなものだから「秘密結社」・・・そりゃそうだろうけど、何か違いませんか? 資料が無いからわからない真言立川流が残念だなぁ。それにしても、参考文献からそのまま孫引きが多いのも、読物としてはいかがなものかと。2014/07/16
いきもの
3
日本史のある種の集団や宗教を秘密結社という文脈の中で読み解いていく一冊。古代から近代まで網羅的で興味深い結社がわんさか掘り起こされてくる。社会からはずれたものが集まり結社を作り、あるいは社会から外されて結社が生み出されるというのは面白い。2012/10/27
4fdo4
2
古本屋で立ち読みして購入。 初めて知ったのは水戸天狗党。 352人が死罪とは歴史に埋もれるには余りに大きな事件ではないだろうか。 立川流、死なう団など興味深い話が多い。2011/12/27