平凡社新書<br> 新・サルトル講義―未完の思想、実存から倫理へ

平凡社新書
新・サルトル講義―未完の思想、実存から倫理へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 241p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582851410
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0210

内容説明

いま静かにサルトル再評価の動きが始まる。かつての実存主義の枠組みを超えて、没後、続々と刊行される遺稿(『倫理学ノート』『真理と実存』等)からは、その豊穣な思考の全体像が立ち上がってくるのだ。自由の果ての倫理とは?哲学・文学の真の冒険とは何か?責任の問題が見えにくくなった時代の今こそ、テクストの新しい読みによる、甦る「サルトル思想/文学」入門。

目次

プロローグ 新しい世紀のなかのサルトル
1 サルトルのテクストを読む(文学と哲学をめぐって;実存とメディアの間;歴史としての政治;ひとはなぜ伝記を読むのか)
2 サルトルとその時代
エピローグ 私たち自身を読み直すためのサルトル

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

20
サルトルのそのときどきにおける思想の変換とアンガージュマンについて。ほんの一昔前には実存主義はもはや旧世代の考え方であり、哲学史を学ぶ上でだけ姿を表す過去の遺物でしかないような空気があったように感じるけれど、本著はサルトルの入門書として現代の価値観から彼の積み上げてきた思想を見つめ直すことにより、時代に則した実存主義を提示してくれている。実存主義はヒューマニズムである。だからその可能性は今のこの時代の空気の中で力強く復活するのではないだろうか。2022/03/12

さえきかずひこ

10
サルトル専門の著者による明快な入門書。前半で代表的著作が概説されるが、現代哲学に結びつけており彼の思想の先進性と現在性が分かりやすい。後半の第4章は本書で最も力が入ったところで、サルトル自伝についての考察を通して縦横無尽に活躍した彼の本質である、読むことと書くことの相互浸透性や哲学作品と文学作品(具体的には『弁証法的理性批判』と『家の馬鹿息子』)の連続性が指摘される。「だが、読むことで私たちは無数の生を生きることができる。読むことこそ、私たちの遍在とドン・ジュアニスムを満足させる装置なのだ」(P.163)2019/09/18

Bevel

9
全体を見渡す一方で、彼の魅力的なアイデアを並べて可能性を想像させる。「卑劣漢だけが、勝つ」と信じること。「気づかないことにする」という在り方、つまり自分の自由を自分に隠そうとする在り方(自己欺瞞)。対義結合による表現。事物には本質が先立つが、人には実存が先立つ。同一律に従う充満した即自と、否定性、無、脱自としての欠如によって根拠づけられる対自存在の自由。普遍性の構築を目指す呼びかけ。発見としての書くこと。与えられた所与に関わっていくアンガージュマンの二重性。希少性を通して根源的カテゴリーを想像させること。2014/03/17

左手爆弾

4
手軽に読めるサルトルの入門書としては一番役立つかもしれない。というのは、サルトルの伝記や個人的な思い出話ではなく、あくまで現代からみた場合のサルトル思想の可能性を問題にしているからである。また、文学や政治活動よりも哲学および倫理思想に対して重きを置いているので、こちらの方面に関心がある読者にとっては重要な手がかりとなるだろう。ただし、「倫理」については未刊の『倫理学ノート』を参照して語られるのだが、まだ包括的な研究が進んでないので、記述は薄め。2016/01/29

ハンギ

2
サルトルの専門家によるサルトルの作品と人生の解説。どうでもいいけど、この方はかなり左ですね。サルトルは実存主義者として大成するけども、共産党には及び腰で、そのスポークスマンとなり、ボルシェヴィキ側に行ってしまう。その時にメルロポンティと決別したが、やがてその共産主義にも愛想が尽き、晩年は毛沢東主義者になるというのが面白かった。実存主義とはよくわからないけど、自由ではあるけれど、そこまで革命的な行動を伴うものではないはず。内省的な少年時代を過ごしたサルトルが極左の行動主義を是認するのは面白いです。2013/11/15

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