内容説明
「シーボルト事件」で知られるドイツ人シーボルトは、江戸参府の際、とある日本人の訪問をうけた。それが、蘭・独・英語にも通じ、今も残る数々の科学用語を考案し、名著『植物啓原』で知られる津山藩医、宇田川榕菴である。野心溢れる西洋知識人と第一級の蘭学者が出会ったとき、言語学・植物学など多岐にわたる、豊かな学術交流が花開いた。二人の天才の交流から生まれた、日本科学史の輝かしい成果を紹介する。
目次
第1章 「山オランダ人」来日
第2章 「博覧多通」対「卓越した教養人」
第3章 西洋最新の植物学書
第4章 幻の学名
第5章 至れり尽くせりの蘭学ハンドブック
第6章 言語学者、宇田川榕菴
著者等紹介
高橋輝和[タカハシテルカズ]
1944年香川県生まれ。文学博士。現在、岡山大学文学部教授。専攻は、ドイツ・ゲルマン言語文化論
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感想・レビュー
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あんどうれおん
4
いろいろな元素を日本語で表す単語を考案するなど、後世への影響が大きい学者の仕事に関する概観と考察。シーボルトについては扱いがやや小さいようにも見えます。これほどパワフルな人たちの生涯をまとめて論じるためには、そのような構成にするほかなかったのかもしれません。とにかく情報の豊富な一冊で、宇田川榕菴その人や蘭学のあらましについて知っておられる方が読むと、より楽しめるのではないかと思います。2022/11/03
さんだんばら
1
今も使う化学用語を確定させた宇田川榕菴。窒素の名称は「窒息する物質」からの直訳とは・・・。初期のころは表現がもっと直接的で「殺素」と翻訳していたようで・・・((+_+))まあ、窒素ガスが充満していたら確かに死んでしまうけれど。宇田川榕菴は医学と化学の分野だけかと思っていたのだけれど、植物学・語学にも卓越していたんですね~2015/09/10
とも
1
オランダ語しか知らなかったのにドイツ語の本読んでしまう気力に驚いた。2010/03/11
いちはじめ
1
江戸時代の東西文化交流。鎖国といわれながらも、実は意外と開かれていたのだなと実感。2002/03/11
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