出版社内容情報
「慶安御触書」と並び幕府成立期の農民収奪政策の証左とされてきた『本佐録』が、書かれた時期も意図もまるで違っていたことを実証。
内容説明
『本佐録』は、その一部の文言「百姓は財の余らぬやうに、不足になきやうに治むる事道也」ばかりが注目され、教科書では長く、「慶安御触書」とともに、江戸初期の幕府の農民に対する厳しい統制姿勢を示すものとされてきた。ところが近年、「慶安御触書」は慶安年代に法令として出されたものでないことが明らかにされた。そしてこの政道論書も、家康の側近・本多佐渡守正信が書いたものではなかった。では、いつ、だれによって、どのように作り上げられたのか。なにを主張する書物なのか。下敷きとなった諸書をつきとめ、諸本を調査し、書誌学・文献学的検討と、テキストの厳密な読解によって、偽書『本佐録』の生成とその意義を見据える、画期的論考。
目次
第1章 『本佐録』の成立時期をめぐって(書誌学に基づく版本の検討から;書誌学に基づく写本の検討から;文献学に基づく検討から)
第2章 『本佐録』の思想的特質をめぐって(「文道」の重視;「百姓」への対応;「侍」の使い方)
第3章 偽書『本佐録』の成立とその意義をめぐって(成立過程について;社会的機能について;偽書化について)
著者等紹介
山本眞功[ヤマモトシンコウ]
1949年高知県生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。玉川学園女子短期大学助教授、玉川大学教授等を歴任。現在、学習院大学、国学院大学非常勤講師。専攻は倫理学、日本思想史。著書に『「心学五倫書」の基礎的研究』(学習院大学研究叢書12、学習院大学/昭和60年度和辻賞(日本倫理学会)受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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