内容説明
中世イタリアの医療と患者の関係は「治療契約」に規定され、しかも医師には治癒させることが義務づけられていた。もともと医師は卑賤な職業とみなされていた…。このように、現代の「常識」とはおよそ異なる医学・医療の実態はどのようなものだったのか。また中世の人々の「病気」や「医療」に対する観念はいかなるものだったか。大学に「医学部」が誕生して医学の専門化が起こり、やがて継続的な治療を施す「病院」が成立する過程を追いながら、近代的な医学・医療の起源を明らかにする。
目次
はじめに 病気のイメージ
序章 「治療契約」の精神
1章 世俗医師の誕生―慈善から職業へ
2章 医療契約の社会的意義
3章 病気の中世的イメージ
4章 新しい「病気」の誕生―「医学部」と医学の成立
5章 専門職としての内科医階層
6章 新しいイメージの認定と統制―医師組合と「医学部」
7章 新しいイメージの制度的構造化―近代的病院の成立
終章 「病気」の成立と「診断報酬」