出版社内容情報
誰が「被害者」なのか、愛人は幸福なのか、そもそも本当にダメなことなのか。話題の著者が、「不倫相手」の視点からモノガミー制度の歪みとしての「不倫」について考察する。
結婚制度の限界に 窒息しそうなすべての人へ。
加害なき不倫は可能か?
世間を敵に回しても緊急事態でも
やめられない営みの文化的、衛生学的考察。
──島田雅彦
断罪も美化もしない。
「不倫」に向けた眼差しがここまで
あたたかい本を読んだのは初めてだった。
──紗倉まな
一夫一妻制(モノガミー)を問い、不倫について考えているうちに、いつの間にか既婚者になっていた作家による、結婚の外側と内側から見た不倫考。
内容説明
一夫一妻制を問い、不倫について考えているうちにいつの間にか既婚者となっていた作家による、結婚の外側と内側から見た不倫考。
目次
序章 たかが愛人の戯言、それとも…
第1章 不倫、愛人、純愛
第2章 絶望の不倫報道
第3章 婚外恋愛の現在地
第4章 女性作家の描く結婚の限界
第5章 愛人の本懐
終章 この結婚社会の片隅で
著者等紹介
鈴木涼美[スズキスズミ]
1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。日本経済新聞社に入社、記者職を経たのち執筆家・作家として活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
20
あの鈴木涼美氏が不倫について語る!? と気になり手にした一冊。男性作家が述べると大問題になりそうだが、女性作家が女性の立場だからこそ記載したり問えることとは、現実問題まだまだあると思う。もちろん逆のケースも然り。思っていた以上に、男性に対しても女性に対しても、不倫に関して厳しい意見を含め切り込んだ内容だった印象。さまざまな立場や状況における考察は読み応えがあった。一方で執筆時の著者は独身であり、あとがき時でも結婚直後。出産をされ母親になった今でも同様な価値観で「不倫」を観られるのか? その点は気になった。2025/07/01
酩酊石打刑
7
タイトルは〈不倫論〉より〈性愛論〉が適切な気がする。今や不倫は売れるとの出版販売戦略での判断だったのだろうが。鈴木鈴美の本人、友人の豊かな性愛の経験と文学、映画などの症例が提示され、多面的な視点からその実態が考察される。読んでいて〈夫婦喧嘩は犬も食わない〉との思いがよぎった。その辺りの事情は個別的で、一般化することは無理だ。愛憎、嫉妬、経済的な独立性など考慮すべき点は多様であるし。それぞれの局面で個別具体的に当事者同士が解決すべき問題のような気がした。昨今の不倫報道は異常だとだけは言えそうだ。 2025/01/02
めん
2
問い:なぜ人は不倫するのか 答え:「結婚制度があるから。そして人は恋愛するから。恋愛結婚は、人生の中の、ひとつの恋愛のゴールに過ぎない。」 かな。 多くの名著や名曲、名画には不倫を題材にした作品が多く、改めてびっくり。それらを味わう上で理解を深めるためにこの本を読んでみると面白いなと思った。 著者がご結婚されたことを初めて知った!なんだか嬉しい。内容的には既婚男性と独身女性のパターンが充実していたけど、今後、既婚女性側の論が充実することを期待。2024/11/10
すっきり紅茶
1
友達の不倫に悩んでおり購入 既婚者がなぜ不倫に走るのかヒントが得られた テーマも内容も面白かったが、一文が長すぎて若干読みにくかった…2025/02/02
ponte
1
以下備忘録。 ・いずれにしろ今でも不倫はありふれており、姦通罪でもなければ妾の法的身分もない世の中で、どんな関係がより自分を深く傷つけるか、より禁断の喜びが大きいのか、脅威となるのか、許せるのか、歌曲を考えるほど深刻なのか、などを決めるのは、それぞれの道義と感じ方によるところが大きい。 ・夫婦関係の悪さを別の関係によって補おうとする態度は、リスクが高すぎるだけではなく、関係のない人にまで余計な痛みをばら撒き、自分の情けなさを露呈し、修復可能であった夫婦関係を台無しにする、愚かな行為だとも言える。 2024/11/30