出版社内容情報
オペラ『ラ・ボエーム』やミュージカル『レント』に登場する、自由を求め放浪する芸術集団。彼らの実態を19?20世紀の小説、詩、日記から辿り、その心性と美学を解明する。
内容説明
自由奔放で、規範に囚われず、気ままな放浪生活を送る若者たち。19世紀前半パリで誕生し、その後一世紀にわたり文学と芸術の領域で大きな意義を有した彼らの美学、思想、習俗を浮き彫りにする。
目次
第1章 パリ・ボヘミアンの誕生
第2章 ミュルジェール『ボヘミアン生活の情景』
第3章 政治の季節
第4章 第二帝政期の変化
第5章 ボヘミアンからパリ・コミューンの闘士へ
第6章 芸術家集団の変容―イドロパツトからシャ・ノワールへ
第7章 放浪とダンディスムのはざまで
第8章 二十世紀初頭のボヘミアン群像
第9章 外国人とパリのボヘミアン文化
著者等紹介
小倉孝誠[オグラコウセイ]
1956年生まれ。東京大学大学院博士課程中退、文学博士(パリ・ソルボンヌ大学)。現在、慶應義塾大学教授。近代フランスの文学と文化史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
122
フランス史では19世紀が最も面白い。帝制王制共和制と6回も変わった政体に国民は翻弄され、政治的都合により自由を謳歌したり弾圧されたりした。そんな時代だからこそ生まれた芸術分野でのボヘミアンという風潮や集団の発展、今に残る文学や絵画、音楽が放つ光芒、外国人を含む参加者の肖像を中心地たるパリの変遷と共に描き出す。いわば政治的混乱がマスコミや料理、娼婦なども含めたフランス文化の興隆をもたらし、世界の人びとが競ってパリを目指す基礎を築いた。文化の発展には「なんでもあり」の混沌を許容する放置された自由が必要なのだ。2024/03/21