出版社内容情報
愛について、小説の書き方について、人間関係について......その悩みはあなたに必要ですか? 視点が反転するような回答が悩みを雲散霧消させる、芥川賞作家による異色人生相談。
内容説明
芥川賞作家がソファーで猫と考えた「生き方」「書くこと」「人間関係」。
目次
1 生きること(やりたい仕事と違うことをしなければならない;人間が生きる意味とは;個性とはどのようなものですか ほか)
2 書くこと(小説を書ける人と書けない人の違いとは;小説がよくわかりません;印象に残っている「純文学」の作品を教えてください ほか)
3 関わること(周囲より遅れている自分が恥ずかしい;学生時代にあまり勉強してこなかったけれど学び直したい;上司が教養や知識を盾に見下してきます ほか)
著者等紹介
山下澄人[ヤマシタスミト]
1966年兵庫県生まれ。富良野塾二期生。2012年『緑のさる』(平凡社)で第三四回野間文芸新人賞受賞。2017年『しんせかい』(新潮社)で第一五六回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
161
山下 澄人の4作目は、人生相談でした。相談者が期待しているような回答はほとんどありませんが、著者のカラーが色濃く出ていて笑えます。世の中にこんなにも小説を書いている人がいるんでですね❓ https://www.heibonsha.co.jp/book/b622274.html 2023/07/03
榊原 香織
57
知らない作家さんだったが、難し気な質問にもサラサラ答えている。 変な質問の多いこと。読んでて意味が取れないような。創作系の人々なのか?普通人じゃなさそう。MondというSNS?掲載2023/12/04
akihiko810/アカウント移行中
27
著者初読み。17年度芥川賞受賞作家が、寄せられた「問い」につらつら答える。印象度B+ これは前書きにあるように、人生相談「ではない」。質問に対し、「俺はこう思った」ことをつらつらと書き連ねたものである。そしてその著者から発せられる言葉は、その思考内容も文体も極めて純文学的な手触りに終始して、まるで韻文のようですらある。純文学者は、極めて社会の役に立たない自意識めいたことや、己や他者のあり方について、そして文学や芸術のことについて考えているのだと伺えた。結構「へん」で面白い本2024/06/14
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
21
初著者。「”どう思いますか?”と聞かれて”こう思う”といっただけだ」。ほんまに、その通りや。書きたいものを書けば、それを読みたい人が読んでくれるだけのこと、読んでくれない人向けに書き方を変える必要などないのだ、と思わされました。2023/09/09
道楽モン
17
人生相談というのは一つの文学ジャンルだ。そのスタイルは千差万別であり、質問に対するスタンスこそが文学的表現の表明に等しい。まあ、多くの質問が切羽詰まったものではなく、他愛の無い承認欲求や自己肯定感を得るためのお手軽な暇潰しであるか、質問者にいささかの問題があるケースが殆ど。深刻な問題であれば、わざわざ人生相談しない。さて、この本では質問に真正面のから回答は皆無だが、一貫して自分の人生観を説いている。その崩れない姿勢こそ真摯であることの証明だと思う。山下澄人氏の作品は未読なれど、既刊全て買ってしまった。2023/07/30