出版社内容情報
縄文写真家・小川忠博による土偶写真集。定番の「縄文のヴィーナス」から、土器土偶、動物の土偶まで、300点の写真で見せる土偶の豊かなバリエーション。『新版 縄文美術館』の続巻。
内容説明
300点、土偶大集合!圧倒的な存在感を放つ、これまでにない、縄文土偶の写真集。
目次
1 土偶の系譜1
2 土偶の系譜2
3 頭と顔の表現
4 手と動き
5 女性と男性
6 装飾と素材
7 多彩な造形
8 動物
著者等紹介
小川忠博[オガワタダヒロ]
1942年東京生まれ。1965年早稲田大学卒業。フリーカメラマン。週刊誌、月刊誌の取材のかたわら、各種スリットカメラなどを開発し、美術、考古分野に新しい視点を提供する。準太陽賞、準朝日広告賞を受賞のほか、2010年には文化庁長官表彰を受ける
原田昌幸[ハラダマサユキ]
1958年東京生まれ。文化庁文化財調査官。1981年國學院大學文学部史学科(考古学専攻)卒業。千葉県立房総風土記の丘学芸員、(財)千葉県文化財センターを経て、文化庁美術工芸課(現在の文化財第一課)勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
172
便利な交通網もない時代の各地の地層から似たような土偶が出土する。繊細な装飾が施され、表情から満面の笑みや叫びを感じる。作り手はどんな思いを込めていたのだろう。私たち後世に言葉ではなく形として、縄文のこころを伝えようと考えていてくれたのであればロマンである。頁を捲るたびにどうしても常識を外れ、地球外生命体かと思ってしまう自分もいるが致し方なし。土器のような利用目的もない犬や熊などの動物から、手のひらに乗る小さなものから大きなものまで、多彩な造形をなぜ作ったのだろう。真実を知る由もないから楽しめる土偶の世界。2023/07/19
けんとまん1007
46
土偶の2文字と、その響き。原始の姿と言えばいいのだろうか。不思議な生命力と存在感を感じる。当時の人たちは、どんな思いを籠めて、作ったのだろうかを想像するのも楽しい。計算して作ったのか、感性も赴くまま作ったのか。それにしても、こういう文化が、当時の環境の中で、どのように伝わっていったのだろうか。今の時代の人よりも、生命力に溢れているようの思ってしまうのは、何故だろう。2023/08/03
風に吹かれて
19
日本各地で発見された土偶の写真が掲載されている。次第に目鼻ができ体全体に装飾が施されていく変遷がわかる。マリー・アントワネットもびっくりの髪型のものもある。乳房や大きな腰の土偶、膝を曲げて出産の様子をあらわしたものや子どもを抱いたものなど母性に関わるものが少なくない。 栃木県荻ノ平遺跡から出土した土偶には微笑を誘われた。どうみても『ちびまる子ちゃん』の「友蔵」。説明文を読むと発掘現場で「友蔵」とニックネームがつけられていたそうだ。「こんなのができちゃったよ」と和気あいあいとした情景もあったに違いない。 →2023/01/24
やま
8
たくさんの土偶の写真をながめるだけでも楽しい。小川さんの縄文に対する写真からの熱意も伝わってくる。土偶とひとくくりにされていますが、1万年の長きにわたって作られた背景や思いに様々なものを感じてしまいます。土偶のいろいろな表情も見ていて面白い。2024/07/23
まさこ
8
そもそも人の形をつくることに、縄文人はどんな感情を持ったのだろう・・・?プリミティブな造形がぐんぐん迫って問いかけてくる写真。頭部のないぼんやりと表現された人型から、呪術を思わせる人型、そしてそして・・・。分からないことが多いだけに、想像も広がる。縄文のビーナスと仮面の女神の美しさが迫る。尖石縄文館に見に行って心躍る体験をしたところ。山形で縄文の女神もぜひ見ておきたいと思う。2022/12/09