派遣者たち

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派遣者たち

  • ISBN:9784152103758

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内容説明

地下都市に暮らすテリンは、もはや人が住めなくなった地上へ行くことを切望していた。師匠のイゼフが地上の素晴らしい夕焼けの美しさや夜空を横切る星の輝きを教えたから。だがタリンは地上へ行ける“派遣者”になるための試験の直前、不思議な幻聴を体験する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

131
地表は氾濫体と呼ばれる菌類に支配され人類は地下都市に逃れたが、禁忌とされた外の世界へ出たヒロインは驚愕の真実を発見する。ヒュー・ハウイー『ウール』と同じ設定だが、キム・チョヨプは単純な終末SFにはしない。氾濫体との接触と人類支配層の思惑を描くことで、異なる知的生命体の進化という『幼年期の終り』的テーマへ進む。氾濫体はカレルレンの如き超越した存在ではなく、地上を取り戻す戦争を図る人類側の動きはパレスチナやウクライナに通じる。そこをヒロイン個人が両者の共存を仲介する結末は、政治ではなく良心に希望を託すようだ。2025/01/01

星落秋風五丈原

31
わかりやすく、自分と異なる他者に対する扱いなら瞬時に判断が下せたはずだ。排除する、近づかない。しかし、自分の中になぜか異分子が存在して、分離する方法はあるが、もし行ったら自分の一部を失うことになるのでは?という危惧を抱く。ということで、テーマはわかりやすく、異分子との接し方である。多文化共生と、世の中は謳ってはいるものの、一方で宗教や土地を巡り異質な存在を排除する動きも後を絶たない。キム・チョヨプは共生を選ぶ。そのために主人公は、しばしば悲劇に遭遇する。2025/02/28

あおでん@やさどく管理人

26
主人公・テリンの置かれる状況は、今まで読んだ著者の作品の中では一番シビアなのではないか。他者と共に生きるのは難しい。特に相手が我々の理解を超える存在であればなおさら。それでも、諦めずに理解しようと努めることで、通じ合えたと思う瞬間はいつか来る。それをSFという形で描き続けているのは、これまでの作品とも通底している。2024/11/09

宇宙猫

23
★★★★ 既視感のある設定やストーリーなんだけど、キム・チョヨブらしいオリジナリティを感じて面白かった。地上が謎物質に覆われちゃうところが、ちょっと「エウレカセブン」っぽいな。2025/04/08

Kanako

21
胸熱すぎる傑作SF!世界観にぐんぐん惹き込まれる。キム・チョヨプさんやっぱり好きだ〜。今回は長編だったこともあり、精密に作り込まれた世界観をどっぷり体感することができた。ディストピアと化した世界のなかで、他者と激しい対立が起こりながらも、それでも「他者との共生」を模索していく主人公。心の奥の深いところをぐっと刺激される作品。残酷ながらも美しく、非常に多面的な生命体の世界を、こうも鮮やかに描き出せる筆力に感嘆する。2025/01/31

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