出版社内容情報
言葉が少しずつ集まって語り始めようとしている。まだ書かれていないこの本はきっと小さなものと静かなものについて書かれた本になる──。夢のつづきと物語の始まりの小文集。
内容説明
まだ書かれていないこの本は、きっと、小さなものと静かなものについて書かれた本になる。夢のつづきと、物語のはじまりの小文集。
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。作家。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作とデザインの仕事を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
吉田さんの分類不可能な感じの作品集です。強いてあげるとすれば散文詩という感じで吉田さんの頭に浮かんだヒントなどを言葉にしている気がしました。また随所に収められている挿絵が楽しめました。このような作品は読みとおすよりも時たまパラパラとめくってそこに書かれている言葉などを楽しむのがいいと思いました。2024/12/26
nico🐬波待ち中
103
吉田さんってこんな風に物語を創っているのか。思いついた言葉と言葉を、まるでパズルのピースを合わせるかのように丁寧に合わせ無数の文章を紡いでいく。こうやって吉田さんにデザインされた物語の小さなカケラ達は、我々に物語の続きを予感させる。本の頁の上にそっと置かれた物語のカケラ達は、夜霧の中をふわりふわりと漂う不思議な夢物語にどこか似ている。理屈ではなく感覚で出来上がったそれらのカケラ達を拾いあげて、吉田さんはまた新たな「夜の物語」に仕上げていくのだろう。この中から創られるであろう新しい本を読むのがとても楽しみ。2021/02/13
けんとまん1007
82
まさに、吉田篤弘さんの世界。行間、ページの余白から伝わってくるものが、とても多いし、それが嫌なテイストでないのがいい。ひたすら、穏やかな、時に静謐であり、ユーモアとウイットにニンマリしたり。種の集まり。これらが、いつか発酵して一つ一つの作品になっていくのだろう。とはいえ、すでに作品でもあるのだが。2021/02/22
nemuro
74
吉田篤弘の本は、『おやすみ、東京』(2020年4月読了)、『電球交換士の憂鬱』(2020年5月読了)、『という、はなし』(フジモトマサルとの共著/2021年2月読了)、『じつは、わたくしこういうものです』(クラフト・エヴィング商會/2021年4月読了)、『レインコートを着た犬』(2021年11月読了)、『鯨オーケストラ』(2023年12月読了)に続いての7冊目。(何判というのだろうか)文庫判よりちょっとだけ大きくて、目次も頁数の記載もない「夢のつづきと、物語のはじまりの小文集」。絶妙にして面目躍如な一冊。2024/01/31
よこたん
58
“もし、言葉が魂を召喚することがあると信じられるなら、自分の中から、自分の意図と微妙にずれた形でゆるゆると漏れ出てくる言葉を、一行、二行と書きつらねていくよりほかない。” 思ったままに、書けたならと思う。それが叶わぬならば、せめてちりちりと頭の中で舞い上がる言葉を逃さないように書き留めておきたい。まとまった文章になる前の、大切な欠片たちを、愛おしみ包み込んだかのような一冊。今は「何コレ?」なものが、いつの日にか「あの時の、アレか」と、ほくそ笑める日を心待ちにしよう。「あるサンドイッチに関する実験」が好き。2021/01/16
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