出版社内容情報
東京・阿佐谷で育ち、ピアニスト兼文筆家として活躍する著者が、井伏鱒二や太宰治も親しんだ「文士の町」としての阿佐谷の記憶と、いまも暮らすこの町の魅力を徒然に綴る。
内容説明
井伏鱒二、太宰治、上林暁、木山捷平、外村繁、小田嶽夫…。阿佐ヶ谷で育ち、いまも暮らす著者が、祖父・青柳瑞穂邸に集い、飲み明かした文士たちの知られざるエピソードや、現在の町の魅力を愛情たっぷりに綴る。
目次
1 阿佐ヶ谷風土記
2 文学青年窶れ
3 女たちの阿佐ヶ谷会
4 新阿佐ヶ谷会
5 私の阿佐ヶ谷物語
6 ディープな飲み屋街
著者等紹介
青柳いづみこ[アオヤギイズミコ]
ピアニスト・文筆家。東京生まれ。祖父は仏文学者青柳瑞穂。4歳からピアノを習い、東京藝術大学音楽学部を経て、同大学大学院修士課程修了。フランスに留学し国立マルセイユ音楽院を首席卒業。東京藝術大学大学院博士課程修了。その間、安川加壽子とピエール・バルビゼに師事。演奏活動と両立して文筆家としても活躍し、1999年『翼のはえた指』(白水社)で吉田秀和賞、2001年『青柳瑞穂の生涯』(新潮社、のちに平凡社ライブラリー)で日本エッセイスト・クラブ賞、2009年『六本指のゴルトベルク』(岩波書店、のちに中公文庫)で講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりんご
28
読みづらかったけれど、身近な街なので(阿佐ヶ谷あたりに住んでいるので)、あの店のことだと思いながら楽しく読めた。太宰のことがちらりと出てくるから、太宰ファンとしては嬉しい。この街がますます好きになった。2021/04/02
びぃごろ
13
場所がピンポイント過ぎる(笑) ピアニストで文筆家の著者が、祖父の交友記録を紐解き(有名どころでは井伏鱒二、太宰治)、自分の関わりのある人々と訪れた阿佐ヶ谷の飲み処、食い処と商店街を紹介している。店だけでなくそこで働く人にも焦点をあてているところに目を引かれる。戦前の阿佐ヶ谷近辺の風景に思いを馳せ、懐かしい固有名詞に胸を震わせ、今の街並みにうむうむと…2020年10月刊行なのでコロナが流行り始めていることにも触れられている。過去を語っているのだから当たり前なのだろうが、人の死が多くて身近。自死も多い。 2021/09/28
やま
7
青柳いづみこといえばフランス音楽を主に専門とするピアニスト。そして、文筆家だそうだ。たしかに、ドビュッシーの話やピアニストの話の本はとても面白いし、読んでいる本の量が半端ないことも気づく。どうしてかなと思っていたら、祖父も父も学者の家系で、祖父などはここ阿佐ヶ谷で作者を集めて阿佐ヶ谷会を開くような人だったらしい。◇また、阿佐ヶ谷のいわれ、歴史、大相撲との話など展開していく。◇でもタイトルを見ると青柳いずみこも(大)酒飲みらしい。おいしいものも大好きで、阿佐ヶ谷のいろんなお店が出てくる。一度行ってみようか。2021/02/24
tetsubun1000mg
7
タイトルと岡崎武志さんの味のあるイラストに引かれて選ぶ。 戦国時代から、戦前・戦後の阿佐ヶ谷の歴史の紹介から始まるが知らないことばかり。 純文学の文士達の集まりで当時の様子が語られるが、貧乏な生活が印象に残る。 筆者が青柳瑞穂の孫らしいので詳しいようだ。 中盤から現在の阿佐ヶ谷駅周辺のいろんなジャンルのレストラン、料理屋、喫茶店、カフェなどが筆者の友人との出会いや会話とともに語られて大変面白い。 筆者はピアニストでありながらエッセイを多く出されていて賞も多く受賞されているようだ。年齢を感じさせない方。 2021/01/01
mawaji
4
阿佐ヶ谷といえば友部正人の「一本道」を思い出しますが昭和の文士の町でもあったのでした。だいぶ前のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで著者のドビュッシーの講演と演奏を聴いたことがあり「昨夜は飲みすぎて辛い」みたいなことを仰っていたように記憶していますが、そんな鯨飲の日々を彷彿とさせるようなエッセイ、堪能しました。「つくだ煮の小魚」「お咲」聴いてみたいものです。中央線沿線はフォークシンガーとも親和性が高そうですが私の故郷の先輩友川カズキさんとも親交があったとは。阿佐ヶ谷のお店もコロナ禍を乗り切ってほしいです。2021/04/10
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