出版社内容情報
宝塚歌劇団の圧倒的な魅力の根源を、小林一三の「なつかしい宝塚」に求め、少女だけの共同体の愛と絆を明かす意欲作。
【著者紹介】
1991年、静岡県生まれ。2014年3月、静岡大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育学専攻社会科教育専修(日本近代史)卒業。静岡県公立小学校教諭。
内容説明
2014年に創立100年を迎えた宝塚歌劇団。機関誌『歌劇』には、おびただしい数の投稿が寄せられた。そこに残されたファンの熱い思いとは何か。宝塚を愛してやまない著者が、その本質を深い共感とともに描いた出色の卒業論文。
目次
序章
第1章 宝塚少女歌劇の誕生(「ムラ」と煤煙の都;箕面有馬電気軌道と小林一三;宝塚唱歌隊の結成)
第2章 少女だけの歌劇(雑誌『歌劇』の創刊;宝塚音楽歌劇学校の設立;宝塚情緒;宝塚というアトモスフィア;少女たちの世界―「良妻賢母」へのモラトリアム)
第3章 少女歌劇の道標(ゆらぐ「家」制度;少女歌劇と恋愛物;少女歌劇のブランド;関東大震災と少女歌劇)
第4章 「なつかしい」宝塚(宝塚と「なつかしさ」の考察;「なつかしい」宝塚の現在)
終章
著者等紹介
永井咲季[ナガイサキ]
1991年静岡県生まれ。2014年3月、静岡大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育学専攻社会科教育専攻(日本近代史)卒業。現在は静岡県公立小学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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創刊から大正13年の「歌劇」誌・読者投稿欄に頻出する〈なつかしい〉という単語は〈愛おしくてたまらない〉というその語本来の意味で使われている例が多いが、なぜ当時の観客は宝塚の生徒を、歌劇を、宝塚という地を〈なつかしく〉思ったのか。本書はこの点を突破口に、宝塚の在り方と観客の志向を読み解く。プチブルを主な客層と想定した宝塚歌劇が提供したのは、結果として現実からの逃避場所であり、それが社会的モラトリアムに生きる少女像に寄せる慕わしさ、憂世を離れて夢見心地に浸ることを喚起したという主張には説得力がある。2016/01/21
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