出版社内容情報
今年94歳、戦後を代表する画家で名文家の著者が日本やパリで出会った有名無名の21人を、鋭い観察眼と独自の表現で描く名エッセイ
内容説明
94歳。日々描き続ける画家の、宝石のような記憶。日本で、パリで出会い、すれちがい、あるいは深く関わった21人を、底知れぬ視力と描写術で綴る類まれな物語。それはまた、永遠に埋もれかけた記録としても貴重である。講演録「今日会える」収録。
目次
忘れられない女
屋根裏のエトランゼ―風間完
モンパルナッスの日々―岡本太郎
ある同級生―佐々木四郎
海を渡った剣客―加藤周一
長い歳月―ヨーコ・オカザキ
老いたフォービスト―里見勝蔵
幼な児のまなざし―ピカソ
筒袖の巨匠―坂本繁二郎
還ってこなかった妖精―純子〔ほか〕
著者等紹介
野見山暁治[ノミヤマギョウジ]
1920年、福岡県生まれ。画家。東京美術学校油画科卒業。応召ののち病を患い、福岡の療養所で終戦を迎える。52年に渡仏、サロン・ドートンヌ会員となる。58年安井賞受賞。64年帰国。68年より81年まで東京藝術大学に奉職。92年芸術選奨文部大臣賞、96年毎日芸術賞。2000年文化功労者となる。文筆でも活躍し、78年『四百字のデッサン』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たびねこ
9
好きな洋画家の最新随筆集。もう94歳になる。絵筆に劣らぬ筆力は変わらず、本著の作品も「珠玉」と言っていいだろう。ピカソ、パリ時代の岡本太郎、小磯良平や、林芙美子、加藤周一らのエピソードにまじって、先立たれた夫人(なんと有名クラブのママだった)への弔辞を載せている。これがまた泣かせる。2014/11/27
ゆうすけ
6
日経新聞で著者の展示会があると知って日本橋高島屋に行った際に書いました。2020年12月で100歳になられたとのことですが表情がなんともいいです。この10年に描かれた作品も沢山出展されていたのですがそのパワフルさが凄いのですね。そしてこの本で出てくる人たちがまたまたすごい。岡本太郎とかピカソとか。正直展示会で観た絵は抽象度が高すぎて全く理解できなかったですが、文章を読むと非常に落ち着きます。コロナ禍ですし、こういう本をじっくり味わう時間を持てて幸せを感じます。2021/01/24
takao
2
ふむ2022/08/26
モンティ
1
エッセイ集なのでとても読みやすい。それと野見山さんの年齢だからこそのエピソード満載。なんだかんだといっても有名人の名前連なりすぎ…ピカソの目、三岸節子の話、小磯良平画伯、岡本太郎さん。それぞれの人となりがわかる内容に、面白くあっという間に読んでしまった。一番楽しかったのは、菅井汲。若さがはじけている。次に笑ったのが林芙美子らしき人。軍人に対する啖呵がスカッとした。過去は振り返らない、今が大事とご本人が豪語される。過去に縛られないで、今を生きねば…年齢なんて関係ない。90年以上生きたから言えるのかな。2019/02/11
きーよ
1
戦争があらゆる記憶(文章)の中に影を落とすほぼ一世紀を彼は生きてきている。彼が終戦を迎えた25才に私は3才。ピカソだから素晴らしいと言っているだけで…、自分にとって一文も価値もなければ、素晴らしいといっちゃいけない。開き直ることが厭味でない年齢、94才!切れが良く、良質の最初から最後の対談まで興味深く、じっくり読んだが、しんねりとだんまりの建築家篠原一男、何故か、これが一番気になった。表題は一番最後の章の奥様への弔事ではないかと感じた。明治神宮前駅のステンドグラス/「いつかは会える」を見に行かねば…。2015/07/05