出版社内容情報
ダブリンで暮らす日本人主婦が小さな美術館を手伝うとそこは日本美術の宝の山。苦労の末世界的な美術館に。半世紀の自伝的エッセイ。
内容説明
ダブリンに住むこととなった日本人主婦が、司馬遼太郎の讃える「そのひかえめな人柄とすばらしい知性」で、小さなライブラリーに眠っていた日本美術の宝物を、整理し、目録を作成し、修復の実現、研究者の世話、世界に日本に紹介し、日・愛、二つの国をつないだ。半世紀の軌跡の自伝的エッセイ。
目次
アイルランドに半世紀のはじまり
チェスター・ビーティー・ライブラリーとの出会い
お向かいは日本ホッケーの父
ダブリンの小さな家族・大きな家族
CBLを手伝いはじめたころ
チェスター・ビーティー卿とそのコレクション
「ヘブンリー」
「奈良絵本」から世界へ日本へ
東京・京都での奈良絵本国際研究会議
京都の夜
戻ってきた財布
娘に聞いたこと
表装、病気、摺物カタログ
中尊寺の美酒〔ほか〕
著者等紹介
潮田淑子[ウシオダヨシコ]
1931年、水戸市生まれ。東京女子大学日本文学科卒業。1960年より、アイルランド、ダブリンでの生活を始める。1970年よりチェスター・ビーティー・ライブラリーで学芸員の仕事に関わり、96年退職(80年まではボランティア、以後正規職員)。2006年外務大臣賞受賞、2007年旭日双光章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さくら咲く
8
本書著者、潮田さんの存在を知ったのはほんの先日。孫達が週末通う「ダブリン 日本子女補修校」がある。小学一年生の担任でもある校長先生が勉強進捗状況や休み時間の様子を毎週写真入りレポートで父兄に送信してくださる。先日学期末のレポートがあり当校設立44年に触れた中に創立者、潮田さんのお名前が。娘によるとご存命、学習発表会には来校されるがコロナ禍で最近は行事が無くお目にかかれず残念との事。検索すると本書の存在が判った。60年前から住まわれ、異国で日本美術保護に尽力された経緯が主な内容。感動と畏敬の念に堪えません。2021/12/12
たそがれ浩兵衛
3
アイルランドのダブリンに重文級の日本美術作品がゴロゴロしていることも驚きだが、これを一人の日本人女性が仕分けして管理していたって知った時、信じられない思いでした。夫の仕事でまだ領事館もないアイルランドに英語もペラペラでない著者が行くことになり、ふとした偶然で図書館の手伝いをして半世紀周りの仲間にも恵まれて一歩ずつ前に進んでいく。将来学芸員等を希望している人は是非読むべきです。それ以前に日本美術が好きな方は全員読むべき作品だと思います。新聞広告がなければ出会えなかった本。感謝です。2014/09/07
志村真幸
1
著者はダブリンのチェスター・ビーティー・ライブラリーの学芸員を長年にわたって務めた人物。 同館は東洋美術の一大コレクションとして知られ、日本でも何度か特別展が開かれている。 著者は、同館の開設にあたって学芸員に日本語を教えたのがきっかけで関わることになったのだとう。 ただ本書は、コレクションを紹介したり、日本美術史を語ったりするのではなく、自身のダブリンでの生活や出来事を語った内容がかなりを占める。チェスター・ビーティー・ライブラリーそのものについて知りたい読者には、やや肩すかしとなるかも。 2021/12/28
almondeyed
1
最近、物語絵を集めた展覧会を見に行ってその面白さに目覚めた所だったので、このタイミングでこの本に出会えた事がとっても嬉しかった。こんなに魅力的な日本美術の宝物がダブリンのライブラリーに寄贈されているのに驚いたのだが、これはチェスター・ビーティー卿の関心が鉱物系寄りで、日本人好みの花鳥風月ものではなかったからだろう。潮田さんは美術に関して素人だったからこそ、これらのコレクションに体当たりで奮闘出来たのだろうし、読んでいるこちらの心に訴えかけてくるのだ。2015/03/07
uusak
0
アイルランド あまりメジャーではない国で 頑張っている日本人。知性と上品さを感じました。2015/03/26