残雪コレクション
かつて描かれたことのない境地―傑作短篇集

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  • サイズ B6判/ページ数 298p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582836288
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

現代中国のユニークな作家、残雪。その初期から近年までの作品を精選し、14篇を収録した日本オリジナル短篇集。特異で不思議なイメージに満ちた作品世界は読者を放さない。残雪ファン待望の書。

内容説明

現代中国の最重要作家が1988年から2009年までに発表した短篇小説から精選、年代順に編む、日本オリジナル傑作集。ある上申書を書き直し続ける母と、夢と本によって母に現実を示す娘を語る「瓦の継ぎ目の雨だれ」から、地下に向かって生長する不思議な植物をめぐり変化する人々を描く「アメジストローズ」まで、夢の論理に細部まで貫かれた14篇を収める。

著者等紹介

残雪[ツァンシュエ]
1953年中国湖南省長沙市生まれ。小説家、批評家。現在北京在住

近藤直子[コンドウナオコ]
1950年生まれ。東京都立大学大学院修士課程修了。日本大学文理学部中国語中国文化学科教員

鷲巣益美[ワシズマスミ]
1964年生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。明治学院大学、中央大学、慶應義塾大学等非常勤講師

泉朝子[イズミアサコ]
1982年生まれ。日本大学大学院博士課程在学中

右島真理子[ミギシママリコ]
1984年生まれ。日本大学大学院修士課程修了

富岡優理子[トミオカユリコ]
1984年生まれ。日本大学文理学部中国語中国文化学科卒業

深谷瑞穂[フカヤミズホ]
1985年生まれ。日本大学文理学部中国語中国文化学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

24
自分の中で残雪という人は、なにを書こうとしているのか、あるいはまたなにを書いているのかが長らくわからずにいた作家なのだが、この短篇集を読んで、そのわけのわからなさがより深まったように思う。地下に向かって成長する植物、異形の怪物に変貌していく人殺し、夢の記述者、解読不能な文字で書かれた本を携えて現われる大叔母といった奇想天外な要素を孕んだ物語は、むしろ物語と呼ばれることを拒否するかのごとき一貫性のなさによって支配されており、読者は終わりも始まりもない悪夢の一場面を垣間見たような感覚におちいることだろう。2013/07/28

zumi

22
素晴らしい、ドンピシャです。この異様な感じは何なのか。どれも奇妙だが、静かな力強さを秘めているものばかり。表題作は言わずもがな。夢の語りに耳を傾け、決して現前することのない場所を想う主人公は、信じられないほど美しい。「そろばん」はカフカ『審判』を彷彿させる、テクニックのオンパレード。主人公以外の人物に注目すると、より面白い。ここは現世か異界か。「大叔母」はとにかく笑わせてくれる。会話のテンポが他とは異なった、いい味を出してる。残雪って、こんなにいい作家だったのか。2014/06/10

R子

19
短篇14本を収録。「奇妙な大脳損傷」や「絶えず修正される原則」は、痛々しく滑稽だがリアリティがあった。彼らは話すことで自分を創り変える。他人には理解出来ないと思うことで、壊れてしまいそうな自分を保っている。「窒息」の少年も印象深い。非日常な体験が招いた無意識に、周囲の人間は恐れおののく。自分を守るための行動が後に命を脅かすことになるなんて。好みだったのは、「ライオン」と「大伯母」。自分の記憶が歪んだのか他人が捏造したのか、本当のことは何処かへ流されて呆然と立ち尽くす感じが良かった。2016/08/17

ハチアカデミー

19
記述者は小屋で、自分にしか見ることの出来ない境地を語ることを待つ、という表題作が絶品。存在しない病、動物、花。それでも言葉にすることで存在してしまう事物がある。夢のようだが、語り手は目にした物に疑いの眼差しを向けることはなく、妙に物語に脈絡がある、かのように読ませる手腕凄い。漱石『夢十夜』、百けんの「件」あたりを思わせるか。個人的には不在感が全面にでている初期の作品が好みだが、発表順に並べられた本書を読み進めると、もはや他の作家の行き着いていない境地へと向かっていることが感じられる。特異な作家である。2013/08/08

いやしの本棚

17
夢の文学、なのだろう。物語性はまったくなく、意味を見出そうとすることに意味はない短篇群。内田百閒、その向こうにかすかにカヴァンを思い出したけれど、ここにある不安感、閉塞感、孤独感は夢には必ずつきまとうもので、著者は絶望してはいない。「瓦の継ぎ目の雨だれ」「不吉な呼び声」「アメジストローズ」「大伯母」などどれも面白かったが、傑出した一篇はやはり表題作だろう、と思う。「かつて描かれたことのない境地」を、あくまで待ちのぞむ夢の記述者というのが暗喩的なようで、しかし結局なにも起こらない。2017/10/01

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