内容説明
ポスト00年代型最終決戦評論。テレビ版~旧劇場版~そして新劇場版Qへの道のりをジャンル横断的分析。「まど☆マギ」「ピンドラ」を論じた著者が庵野ワールドに挑戦する…。
目次
序章 エヴァ、二つのターニングポイント、二つのテーマ
第1部 偽りのリアリティ(父とその恋人が争う;ネルフと第3新東京市;シンジ対ゲンドウ)
第2章 ホメオスタシスとトランジスタシス(出口を奪われた子供たち;試行錯誤する生;シンジ対アスカ)
第3部 呪いが解けるとき(ヱヴァンゲリヲン新劇場版について)
著者等紹介
山川賢一[ヤマカワケンイチ]
SF・文芸評論家。1977年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科仏文専攻修了。さまざまな職業を経て現在に至る。主な研究対象にH・G・ウェルズがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐久間なす
23
ドラマ全体の流れを具体的な細部にもとづいて、『新世紀エヴァンゲリオン』を読み解いた論集。 独自性が高いと思っていた『エヴァ』も、細く読み解いていくと、過去の作品からの影響が、こんなにもたくさんあるのかと思いました。 『エヴァ』が社会現象になった理由はたくさんあるでしょうが、主人公のシンジが「戦う理由を欠いたまま戦う」。すなわち、「確固たる信念を持たずに人に流されて行動する」人物なことがその中の一つかと思いました。そこに視聴者が共感しやすかったのから、社会現象になっのかなと感じました。2015/01/16
魚京童!
16
加持:閉鎖された自分一人が心地いい世界を君は望んだ。 マコト:自分の弱い心を守るために。 シゲル:自分の快楽を守るために。2014/09/13
きいち
12
エヴァで時代を読むのでも、設定の細部に拘泥するのではなく、エヴァの物語を物語として読む実直で好感の持てる試み。とくに、この本で物語のディティールを織り重ねながら示されるゲンドウ・アスカとシンジとの対照は、「昨日と違う明日の希求」と「昨日と同じ今日に感じる幸せ」との闘い、確かにそれは時代を問わぬテーマ(リョサ『悪い娘の悪戯』を思い起こした)。旧劇場版でのシンジとアスカのコミュニケーションを主とする展開の解読は特に納得感がある。そして、新劇場版は全く別の作品として読むべき作品なんだ、と実感した。2013/02/18
梟をめぐる読書
11
旧劇場版やTVアニメ版への考察も、エヴァを取り巻く批評環境への違和感の表明も、宇野の「決断主義」への破綻の指摘も、いささか時期を失しすぎている感はあるものの、世間がブームに沸き立つなかで唯一纏まった形で上梓された『まどマギ論』の著者らしく、思い込みに走らない丁寧な読解を展開してくれている。それゆえ「エヴァ論」の更新の試みとしては大胆さに欠ける印象を残すものの、プロット版とのシナリオ対比や、過去の庵野秀明作品との類比関係の指摘は嬉しい。とりあえず刺激されたので、今夜『Q』をレイトショーで観劇してきます。2013/01/13
代理
5
久々に読書で汗をかいた。『エヴァ』を舐めていました。第二十話の違和感の理由は鳥肌立った。TV版が破綻したように『見えた』理由の解説もすごい。新劇の話になると、一気にトーンが緩くなって本当に山川さんはエヴァが好きなんだなと思いました。名著。2014/09/20
-
- 電子書籍
- ときめき - 2015夏号 (家庭画報…