出版社内容情報
今の世の中に欠けている「しつけ」の心が、教わりたかった日本の心がここにある。幸田家の生きた知恵を集めた三部作の第一弾。(◆続刊『幸田文 台所帖』『幸田文 きもの帖』)
内容説明
父・幸田露伴に暮しかたのすべてを教わった幸田文。大切な心を取り戻す、生きた言葉28篇。
目次
第1章 父露伴のしつけ(個人教授;おばあさん;あとみよそわか;水;経師;なた;雑草;〓(そっ)啄
祝い好き)
第2章 家事のしつけ(机辺;煤はき;みがく付合い;洗濯哀楽;針供養;間に合わせ;買いもの)
第3章 礼儀のしつけ(にがて;槃特;父に学んだ旅の真価;旅がえり;お辞儀;正座して足がシビレたとき;平ったい期間;包む括る結ぶ;はなむけ;ひとりで暮せば;一生もの;福)
著者等紹介
幸田文[コウダアヤ]
1904年9月1日東京生まれ。1922年3月、女子学院を卒業。1947年、執筆活動を始める。1956年1月、「黒い裾」で第七回読売文学賞を受賞。1957年2月、『流れる』が日本芸術院賞に決定。1973年9月、『闘』により第十二回女流文学賞を受賞。1976年11月、日本芸術院会員に選ばれる。1990年10月31日、心不全のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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呉もよこ
10
父、幸田露伴からしつけを教わった幸田文のしつけ・掃除・生き方あれこれ。現在、巷で氾濫している「ていねいに暮らす」とか「お片付け」本アレコレなんて生ぬるい!きっと露伴が生きていたら、「これだがら女はゴミ臭いのだ」とか怒られそう…先生、ワタクシ水の扱いから考え直さないといけないのですね…「家事は行く河の流れのごとく、滞れば決壊氾濫する」肝に銘じます。2014/08/06
黒うさ
10
身の引き締まるエッセイ。好きな作家さんの本なのに、読むのが少しつらかった。確かに露伴は素晴らしい文豪だけど、こんなにこと細かく家事を躾る父親は正直嫌だな…。家事が苦手で(特に掃除)だらだらな自分には、身につまされた。また、心に余裕のある時に読み返したい。2014/06/22
daimonn
10
日々の暮らしの中の様々なものに細やかな気配り目配りがあり、表情豊かな生活ぶりが伺える。とても真似なんて出来ないけど、自分なりに丁寧に暮らすって事を意識していけたら…と思った。タイトルから、ちょっと堅苦しい内容かな?なんて思いつつ読み始めたけど、全くの杞憂だったし、時代を感じさせる文章は、かえって新鮮に感じた。ノウハウも参考になったけど、物事に対する心の構えのようなものを、より教えてもらったよう。そして父、露伴先生の厳しいしつけは小言ひとつにもキレがあって(他人事だと読んでる分には)小気味よさすら感じた。2014/04/11
和草(にこぐさ)
9
父露伴の主な掃除のしつけ。母を早くに亡くした文に掃除の全てを教えたのは継母ではなく父の露伴であった。道具から掃除の仕方までこと細かに指示を出す露伴には頭が下がる思いである。自分がしてきたのは掃除とは言い難い。2013/06/03
ムツモ
7
幸田文の文は、文章そのものを読む楽しみと、内容を味わう楽しみの二つが味わえる。この本は、時折祖父母を思い出すこともあって読んでいて幸せだった。装丁も大好き。2014/03/10