内容説明
救いなきこの世をいかに生きるか。いかに死ぬか。徒然草には実に曇りのない目でこの世のことが書いてある―。
目次
1 徒然草独言(世捨人;色好み;つれづれ;女嫌い;救いなきこの世;死の準備;天邪鬼;変化の理;悟り通りには生きられなかった人;世間の評判が気になる人;誇張方法;人間観察隊)
2 反時代的毒虫の作法(忌まわしき時代;金と文学;世捨てという思想;現代に愛は成立するか;文士の生き方;老いを生きる)
3 車谷長吉氏への50の質問
著者等紹介
車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20年(1945)兵庫県飾磨市(現・姫路市)に生まれる。慶應義塾大学文学部独文科卒業。広告代理店勤務、下足番、料理人などを経て、平成4年に上板した初作品集『鹽壷の匙』で三島由紀夫賞、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。平成10年、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受賞。平成13年には「武蔵丸」(『白痴群』所収)で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ω
48
長吉本はかなり読み尽くしたと思ってましたが、本作は新たな発見がいっぱい( ^ω^ )! 前半が特に面白くて、吉田兼好「徒然草」を引用し、長吉っつあんが自己流の解釈で語るエッセイみたいな感じ。 あやしうこそものぐるほしけれ=(妙に気違いじみた気持ちがする) 相変わらず、お母様の「ド畜生めがッ!」「業が沸くッ!」が聞けて幸せ〜ww2023/05/21
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
12
車谷長吉エッセイ集。『徒然草独言』『反時代的毒虫の作法』『車谷長吉氏への50の質問』の三章からなる。2章から読み始めたが、『反時代的…』はいつもの厭世的な車谷節が気持ちいい。『徒然草独言』は吉田兼好の徒然草を通して語るというのが面白い。ラストの50の質問は意外な面が窺えて楽しい。好きな悪人『武烈天皇。藤原薬子。北條義時。』好きな愚か者『平清盛。吉田兼好。夏目漱石「吾輩は猫である」の苦沙彌先生。』。2013/04/21
jahmatsu
10
奥さんの「夫・車谷長吉」を読後、久々に長吉さんを読みたくなり、長らく積読中だった作品だが読みだすと長吉節が全開でやはり面白いな。新作はもう読めないのかと思うと寂しい限り。2017/07/23
サカナ
2
読んでいたら人生から逃げたくなってきた。休日に読んだら寝込むところだった。落ちていくなぁ。まだまだ煩悩が多いことよ。2019/01/31
Tonex
2
いつかちゃんと「徒然草」を読んでみたい。/直木賞を取っても編集者に怒鳴られたり殴られたりするらしい。/尊敬する文士は、吉田兼好、夏目漱石、永井荷風、嘉村礒多、尾崎一雄らしい。この人たちは自分で自分のことを阿呆だと考えていたから。谷崎潤一郎は自分で自分のことを偉い物だと思うていた人だから好きになれないらしい。三島賞、山本賞、芥川賞、直木賞をもらった作家、評論家の九割は自分のことを大したものだと思うているらしい。2013/07/30