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内容説明
ゴーレムの巨人から錬金術、アンドロイド、カレルのロボットに至るまで、様々な人造人間創造の試みと、人間と機械の関係について、ユーモアたっぷりに考察した表題作の他、カレルの死後、彼の庭を眺めて書かれた「庭の思い出」など、もう一人のチャペックの魅力満載。
目次
人造人間
アララト山からの下山
政治的情熱
悲しいことだろうか?
死刑について
進歩とキャンディー
人間の多様性について
財宝を守る蛇
平凡であること
大きなミミズ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
21
チェコの作家&画家ヨゼフ・チャペックのエッセイ集。日本では弟のカレルほど有名ではないが、“ロボット”という言葉の産みの親でもある彼はジャーナリストとしても文筆家としても画家としても、多くの作品を残している多才な人だった。「わたしは観察者ではない。参加者である。」堂々とそう言い切ったというヨゼフ・チャペックの作品は、日本にももっともっと紹介されてもいいと思うのだが……。 2016/05/27
きゅー
9
カレル・チャペックの兄、ヨゼフ・チャペックによるエッセイ集。中心となるのは「人造人間」で、その他十数編が収録されている。カレルのエッセイの楽しみは軽妙なユーモアだと思うのだが、ヨゼフの文章は社会風刺的な内容で重苦しい。「人造人間」では機械と人間の融合について思いを馳せている。しかし当時の科学技術では彼の理想を実現させることはまったく不可能であり、特に後半の文章では内容が上滑りしてしまっているのが残念だ。土台として『R・U・R』のロボットをイメージしたエッセイだが、消化不良のまま読み終えてしまった。2018/11/02
amanon
1
表題作「人造人間」は弟カレルの『未来からの手紙』を想起させられる。ただ、恐らく当時の世相を強く反映させていると思える内容のためか、作者の言わんとするところが今一つ理解出来ないという印象が拭えない。要するに人間が機械に取って代われるのでは?という危惧感が根底にあるということは理解出来るのだけれど。また、弟カレルの作品を読んでいて幾度となく感じたように、著者の宗教的背景が気になる。本書で「神様」という言葉が出てくるが、その語り口は決して宗教を揶揄するような立場は見られない。その辺りを明らかにして欲しいと思う。2013/10/28