幼稚園誕生の物語―「諜者」関信三とその時代

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582824575
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0021

内容説明

真宗大谷派本山から、後には明治政府からキリスト教排斥のための「諜者」に仕立てられた関信三。キリスト教思想の産物である幼稚園の、日本での誕生はこの真宗僧侶なくしては語れない。幼児教育の曙と葛藤の生涯をたどる。

目次

序章 関信三と幼稚園の思想を今こそたどって
第1章 波乱前夜の青年僧時代
第2章 「邪教」と「正教」のはざまで
第3章 激動の時代を駆けた奔流
第4章 宗門への失望と不信
第5章 虚しさと無念の果てに
第6章 幼稚園にかけた残りの人生
第7章 翻訳者関信三によって創られた幼稚園
第8章 近代保育学の幕開け
終章 関信三の発見

著者等紹介

国吉栄[クニヨシサカエ]
1949年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。専門は児童学。現在、白百合女子大学、共立女子大学、彰栄保育福祉専門学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Kawai Hideki

79
「幼稚園選び」つながりで、その歴史も紐解いてみたら、めちゃくちゃ面白かった。日本で最初の幼稚園の初代園長となった関信三の伝記。幕末に東本願寺の系列の寺に生まれた関は、キリスト教徒を内偵するスパイとして長崎に潜入。浦上信徒弾圧に加担。さらに奥深く潜入捜査するため、偽りの洗礼をうけ、ロンドンに渡り神学校へ。ところが、その間にキリスト教が解禁。仏教への失望も抱く。スパイも僧侶も投げ出して隠遁生活を送るうち、フレーベルの教育思想に触れ、国民の自由と幸福のために幼稚園開設に乗り出す。地道な調査研究に基づく渾身の名著2015/04/17

小鈴

18
幼稚園誕生の話より諜者の前半がダントツに面白いが、その経験が宗教の自由と自律した個人の確立を目指す幼児教育へ向けられるのは興味深い。真宗大谷派に籍を置くも仏法を守るため邪教キリスト教を学び、諜者となり洗礼まで受ける。なんと日本プロテスタント教会の創立メンバーの一人(12人中3人が諜者w)。ついには英国の神学校を入学するまでに。そうまでしてキリスト教の動きを国に報告しながら、キリスト教は禁教ではなくなり自らの存在意義を失う。以降、仏教からも距離を置くも英語の翻訳で幼稚園を知るのだった。2016/09/12

シルク

13
とても好きな本。日本に「幼稚園」と呼ばれる施設がつくられたのは、明治のかなり早い時期。幼稚園――そこは、花壇があり、子ども達が思いっきり駆け回れる広いグラウンドがあり、そして遊具がある。4~6歳の幼き人達が集まり、「思いっきり遊ぶ」のだ。それが、フレーベルがこの世に生み出したkinder garten(独語)というもの。日本がこれを輸入したのは世界的にもかなり早い時期だった。そして、日本で展開された「幼稚園」というものは、フレーベルの理論にかなり忠実なものであった。その伝播の背景にはひとりの男がいた。 2018/05/16

よし

7
スパイとして、キリスト教排斥に情熱を燃やした関信三。信教の自由が認められ、目標を失った彼が見つけた新たなフィールドは幼児教育だった。スパイとしての「日陰者」の半生が、子供たちの未来を輝かせる情熱に変化したなんて、なんて素敵なことだろう。2015/05/26

わいほす(noririn_papa)

5
幼稚園誕生の物語というより副題の「諜者」関信三とその時代がメインであり、これは物語でも保育学書でもなく、歴史学書であり伝記である。明治維新の頃、仏教徒でありながらキリスト教排除のための密告者としてキリスト教徒になりすます半生はネタとしてはとても面白いが、記述が固すぎ。翻訳家として日本に幼稚園を紹介した彼の心情を理解するために彼の半生が必要なのかもしれないが、初期の幼稚園の現場や子どもたちの様子などを期待すると大きく外れる。2011/04/13

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