出版社内容情報
1世紀ころの紅海・アラビア海からインド洋にかけての交易実態を伝える。貴重な資料を最新の研究成果と細密な註釈で読む決定版。
内容説明
1世紀の紅海からインド洋にかけての交易の実態を伝える決定的史料を、本文校訂から考古資料の新発見まで、研究の蓄積と到達点を踏まえた的確・綿密な翻訳・注釈で読む。
目次
エリュトラー海案内記 第1‐37節
註 第1‐37節
解題(手稿本、校訂本、ならびに訳註書;『案内記』の作者と著作年代;『案内記』成立の歴史的背景)
著者等紹介
蔀勇造[シトミユウゾウ]
1946年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専攻、アラビア古代史、東西海上交流史。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春ドーナツ
20
作者不詳のギリシア語本。1世紀半ば頃成立、諸説あり。「エリュトラー海」とは字義的には「紅い海」(凡例)。本文(第1-37節)23頁。註258頁。解題74頁。ナボコフの英訳「エヴゲーニイ・オネーギン」はこんなテイストなのだろうかと空想する。蔀(しとみ)通造訳註。本書は紅海、アデン海、アラビア海を巡る航海交易録。棗椰子の実がたわわに実る写真を初めて見た。葡萄の房みたいだ。Wikiによると直径2-3cm、長さ3-7cmの楕円球型らしい。巨峰サイズ? 乾燥させると保存食になるので海上生活では欠かせなかったそうだ。2019/05/17
africo
2
紀元1世紀頃の紅海〜インド洋の航海、交易の状況を記した史料の翻訳。二千年前の事がわかる史料が残っているのは冷静に考えると凄い。2分冊で1冊目の本文は20p程だが注が250p解題70p程と解説が充実している。元々本文の時代地域に特別な関心はないが、現代の歴史学が史料から何をどう引き出すかの興味で読んだ。港の位置の比定、難解な箇所の解釈等につき、他の文献や碑文との参照ほか研究史の変遷をきっちり抑えてくれていて良い。僅かな史料だが、研究の蓄積に歴史学の営為の一端を伺い有意義であった。但し読んでいると眠たくはなる2022/08/20