出版社内容情報
ラーマがシーターを奪還しアヨーディヤーに帰還、王位について、ヴィシュヌ神として天上に昇るまでを語る。『ラーマーヤナ』全7巻のサンスクリット原文からの初めての邦訳、いよいよ完結。
内容説明
ラーマは、王として地上に真理と正義と平和を実現すると、彼を讃える物語を残し、再びヴィシュヌ神として天上へと還っていった。サンスクリット原典からの初の邦訳全7巻、完結。
目次
第7巻 後続の巻(牟尼たちはラーマの即位を祝う;ラーヴァナの家系、ヴィシュラヴァスの誕生;ヴァイシュラヴァナの誕生、財宝主となりランカーに住む;羅刹と夜叉の起源、スケーシャの誕生;スケーシャの三人の勇猛な息子の話;ヴィシュヌ神は羅刹の迫害から神々を保護する;羅刹マーリンは倒され、他の二羅刹は遁走する;羅刹たちは地底界へ移り住む ほか)
著者等紹介
中村了昭[ナカムラリョウショウ]
1927年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程印度哲学専攻修了。文学博士。鹿児島国際大学名誉教授。専攻は、インド古代・中古の文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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syaori
66
最終巻。前半はラーマが倒したラーヴァナの悪行が、後半はラーマの治世に差し込む形で神々や王、聖仙たちの物語が語られます。後世に付け足された1巻とこの最終巻は他の部分が持っている大らかさ、自由さ、鮮やかさが幾分か薄まるように感じるのですが、後半の挿話は独立した物語としても楽しめて、これはこれでページを捲る手が止まりません。何より、作者ヴァールミーキも登場する1巻と最終巻は物語の枠的な機能も担っていて、おかげでそこに閉じ込められた古代インドの人々の理想や倫理や世界観、奔放で豊かな美意識を心ゆくまで楽しめました。2022/12/06
NAO
61
1巻と7巻は、もともとの話にあとから付け加えられたものだと言われている。一度は自らの純潔を証明して見せたシータだが、その場にいなかった国民たちに疑われ再度証明しなくてはならなくなったというのが、女性の立場からするとちょっと悲しい。2018/02/20
roughfractus02
7
戦いの最中では、宇宙・自然・人間は従うべき「法」を乱す者たちを倒す合力となるが、戦いが終わると、宇宙・自然・人間は連携を緩めて互いの領域に戻る。双子を出産したシーターはも魔王に拉致された間の貞操を証明するために大地の女王を呼んで女王と共に大地に消える。神々は宇宙(天界)へ戻り、ラーマもビシュヌ神に戻って天界へ向かう。猿族は森に戻り、戦いの記憶をヴァールーミキ仙に物語の形で伝えられた双子は、人間界の領地を分割統治していく。後に付加された部分とされる本巻は、神話が人間世界にまだ息づいていることを示そうとする。2022/09/27
j1296118
1
ハヌマトは『マハーバーラタ』では「実は俺一人で全部何とかなったけど、ラーマという英雄を立てる事が必要だったので控えてた」と話してたけど、ヴァーリンとの時やランカー潜入中の一時期は全然そんな自己評価ではなかったなあ、まあ神話伝説にはよくある事か。 などと思っていたら予想外に「それはこういう事だ」解説話が出て来て驚いた事2014/06/26
christinayan01
0
昔の人が後から付け足したという7巻。そのためラーヴァナやハヌマトの生い立ちも紹介されている。 そのためラーヴァナの生い立ちなどが記録されている。最後になるにつれ急に宗教色が強くなったのも追記のせいかな? ヴィマナ(空飛ぶ乗物)で天界に向かう件なんかは聖書みたいなノリに見えた。 シータの最後の扱いはどうなんだろうと悶々としてしまったのが正直なところだが『法の厳守』を誇示するためには最初からこうなる運命なのかな。 とにかくインドラの矢を目的に読み出したわけですが本当に良い本に出会えたと心の底から思えた。2017/11/08