出版社内容情報
バードは北海道から東京に戻り、今度は関西・伊勢へ。簡略本で省かれた重要な部分。東京、伊勢神宮、神道に関する覚書3本を含む。総索引を付す。従来の読みを刷新する訳注書、全4巻完結。
内容説明
北海道から東京に戻り、バードは関西・伊勢へ。簡略本で省かれた重要な部分。東京、伊勢神宮、神道に関する覚え書3篇を含む。総索引を付す。従来の読みをあらためる訳注書、全4巻完結。
目次
東京に関する覚書
雅楽の演奏会
伝道の中心
キヨウト・カレッジ(同志社英学校)
門徒宗
美術品の好み
宇治
伊勢神宮に関する覚書(伊勢神宮)
もう一つの巡礼
琵琶湖
キリスト教の見通し
火葬
神道に関する覚書
一八七九‐八〇会計年(明治一二年度)歳入・歳出予算表
外国貿易
著者等紹介
金坂清則[カナサカキヨノリ]
1947年富山県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学名誉教授。イザベラ・バードに関する研究と写真展等の活動により、王立スコットランド地理学協会名誉会員他。専攻、人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
126
この第4巻目は北海道ではなく、京都や琵琶湖、さらに伊勢神宮などを回っています。最初には東京に関する覚書、伊勢神宮に関する覚書なども書かれています。また同志社英学校についても書かれていてやはり日本でのキリスト教伝道にも興味があったようです。さらに最後には日本の国政と神道に関する覚書も収められています。「菊と刀」よりもはるか昔にこのような分析がされていたとは驚く限りです。それにしても訳者の金坂さんの偉大なる成果だと思いました。2016/09/05
きいち
41
これまでの3巻とはがらりと印象が変わる。東京・神戸・京都・伊勢を回ったこの巻、これは確かに、旅行記というよりも「報告書」、非キリスト教国日本の大改革の渦中に身を置き、個人名のわかる人々との会話を通じてその意義を述べる。つまりは交渉相手として信用できるよ、というレポートだ(そういえば「日英同盟」は二十年後。ひょっとすると、大きく寄与したのではないか?)。◇草創期の神戸女学院に同志社、龍谷大を訪ねるバード。権威ある外国人校長の講義だろうと「自分の頭で理解するまで納得することはない」学生たちの姿勢が素晴らしい。2017/05/20
Miyoshi Hirotaka
16
日本美術に心酔したフェノロサや日本文化の紹介に尽力した小泉八雲と並ぶ明治の日本オタクが書いた日本旅行記。新生明治の息吹を感じる生き生きとした描写。治安の良さや丁重で親切なもてなしに感心する一方、参拝場所に遊興施設が隣接していたり、無神論が広がっていたり、信仰と祖先崇拝が混同されていたりすることに対する見方は厳しい。最近、欧米で日本の告げ口外交を展開する国があるが、この古典を読めば、良識ある教養人は矛盾に気が付き、矛先は元々の意図と違う方向に向かう。また、われわれとっても祖国の文化を顧る際の重要なよすがだ。2013/11/19
ソババッケ
10
英国女流旅行家が明治11年に来日した旅行記。主な寺社を巡り、著名人にも宗教的教義に関する質疑を行っている。敬虔なクリスチャンであるためか、堕落した仏教界、迷信じみた神道と手厳しい。民家のどこにでもある庭や鉢植えの草花を愛する国民性、古都における建物や陶磁器、漆器などに求める簡素な中の美へのこだわりなどについては称賛している。京都はやはり別格扱いだし、長谷寺の自然の景観についても絶賛。東京では盛んになりつつあった火葬場を訪問するなど、作者の好奇心は尽きないようだ。偶然にも本日は伊勢志摩サミット。★3.82016/05/26
Yoko
8
これ以前の旅と違って場所が場所だけに当然評価も高くなるし、旅も(蚤、蚊がいないし)ずっと快適。神道に対する評価の低さは厳格なキリスト教徒から見たら仕方がない(今のキリスト教の現状を知ったらショックでしょうね)。日本の食べ物も合わないし(肉類ないし)、音楽は耳障りとしか思えないらしい。それ以外の日本の良い芸術作品や庭園、着物等、又は上の階級の物腰の美しさについては絶賛している。日本の西洋建築は安っぽく醜く、日本人に合った和服を着ずに似合わない洋服を着た人々を見ると滑稽で、そういう風潮を残念がっている。2016/03/05