内容説明
イザベラ・バードの明治日本への旅の真実に鋭く迫る初版からの完訳決定版。正確を期した翻訳と丹念な調査に基づく巨細を究めた徹底的な注で、初めてわかる諸発見多数。
目次
第一印象
旧きもの、新しきもの
江戸
習慣と身なり
寺院
中国人と従者
演劇
参拝
旅の始まり
粕壁から日光へ〔ほか〕
著者等紹介
金坂清則[カナサカキヨノリ]
1947年富山県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。イザベラ・バードに関する研究と写真展等の活動により、王立スコットランド地理学協会名誉会員他。専攻は人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
これは、先日読んだ1冊本を完訳して注もかなり克明につけた4冊本の第1冊目です。ただ蝦夷までは3巻までで、4巻目は関西、伊勢方面の話になっているようです。訳注がかなりの部分を占めていてこの訳者の研究成果を示しているようです。私は一度読んでいるので中を中心に読んでみました。訳者がバードと一緒に旅行をしている感じです。すばらしい業績ですね。2016/08/01
Kawai Hideki
91
渡辺京二の「逝きし世の面影」に導かれて手に取った。イギリス人女性探検家による、明治初期のみちのく〜蝦夷を中心とした日本探検紀行。本書は横浜上陸から新潟まで。妹への私信の形式だが、開国間もない日本の風俗・文化の調査報告書としての価値が高い。外国人は自由に日本国内を旅行できなかった当時、イギリス要人の特別な働きかけで、どこでも歩けるパスポートを手に入れている。非常に緻密な観察眼で、深く日本のことを理解しようとしている姿勢が嬉しい。一方で、貧困、不衛生、ノミや蚊、プライバシーの無さには悩まされたようだ。2015/01/26
きいち
43
明治になりたての日本を知る、バードの観察眼に舌を巻く、長年バードを研究してきた訳者金坂の熱と圧にあてられる、一冊で3度おいしい初めての完訳版。宮本常一の紹介、逝きし世の面影、不思議の国のバード(この巻はちょうど現在の刊行分の新潟まで)と読んできて、これはもう読まねばと。◇決して豊かではなく不潔で汚らしいとまで言われる(本当に)当時だが、それでも日々を楽しく暮らそうとしている人と、そんな意志からも遠ざけられている人とがいる。旅人バードの時に辛辣で、でもフラットでフェアな目は今の我々のもの。本当にありがたい。2017/02/12
Tadashi_N
36
150年前の日本旅行は冒険だった。家はみすぼらしいが、人びとは素晴らしい。2018/06/26
壱萬参仟縁
24
1878(明治1)年、来日(25頁)。 新訳にはなかったものが完訳で 他の報告が読める。 重複する報告もある。 健康回復の目的もあったという。 当時の人口は3435万8404人 (35頁)。 日本人は洋服を着ると本当に小さく 見える(57頁)。 劇場は芝居屋。 当初、芝地で演じられたことから 名付けられたようだ(89頁)。 やはり、1円札=1ドル紙幣(190頁)。 第15報の不潔と病気にあるように、 茶屋におびただしい蚤がいるので、 道端で昼食をとったようだ(210頁)。 2014/05/30