内容説明
インド洋世界で活躍したムスリム航海者が蒐集した驚異(アジャーイブ)に満ちた162の説話をアラビア語写本から世界で初めて翻訳。イスラーム海域交流史第一級史料。第2巻は83話以降に用語集・索引を付す。
目次
ニヤーン島の人喰い人種
人間の頭蓋骨を通貨として用いる人喰い人種
仇敵を討つための食人の風習
外国船とランジャバールース島民との取引
カシュミールにあるダイヤモンドの渓谷
帰国の航海で三つの幸運に恵まれたこと
魚を食べて精力絶倫になった老翁
サランディーブから到着の船に対する関税額
中国の王宮庭園を彩る絹の造花
アンダマン島の黄金寺院にあるソロモンの墓〔ほか〕
著者等紹介
家島彦一[ヤジマヒコイチ]
1939年東京都生。慶應義塾大学修士課程修了。文学博士。東京外国語大学名誉教授。元早稲田大学特任教授。専攻はイスラーム史、東西交渉史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
本巻は食人の風習の言い伝えに始まり、ダイヤモンドの渓谷、絹の造花で彩られた中国庭園、島の黄金寺院に祀られるソロモンの墓等の、物や地域に関する神秘的な逸話が続く中で、「倭国」という説もある「ワークワーク」なる架空の国のエピソードが何回か出てくる(東南アジアのイメージが集約された地域のようである)。その中で地域の特産物、盗賊の存在、訴訟や裁判の仕方等各国の状況や航海中の日常の記述もあり、地理的位置や年号に関する情報は史実と対応可能なほど正確なものが多いとされる。10世紀東西交渉史に関する解説が詳細で網羅的だ。2022/09/14