内容説明
マカーマートとは説話形式のアラブの散文文学の一ジャンル。本書はその大成者が著した最高傑作。教養・詩才・機知に富んだ騙しの長老アブー・ザイドが才覚を発揮する行状記。
目次
ザビードのマカーマ―奴隷を買えども不法とされて
シーラーズのマカーマ―老婆殺しを重ねながらその一方深窓の娘を育てる
マラティッヤのマカーマ―言い換え謎を問われ極意を授ける
サアダのマカーマ―法官に親不孝を諭され終わってみれば
メルヴのマカーマ―吝嗇で知られる町の太守を攻め切る
オマーンのマカーマ―避難した島に上陸し呪文で難産を救う
タブリーズのマカーマ―「隣」で済まそうとする夫婦生活が法廷に持ち込まれて
ティンニースのマカーマ―モスクで親が説教し、息子が布施を集める
ナジュラーンのマカーマ―高く付いた一〇の謎々
バクル(若さ)のマカーマ―bakr(若さ)三題話、若ラクダ、若き性、若輩〔ほか〕
著者等紹介
堀内勝[ホリウチマサル]
1942年山梨県生まれ。東京外国語大学アラビア語科卒業。カイロ・アメリカ大学大学院課程修了。専門領域は言語人類学・民族誌。現在、中部大学国際関係学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
アブー・ザイドを主人公に、若者ハーリスを語り手に50話に及ぶ騙りに関する物語は、巧みな韻を踏む文で性愛に関する男女や学校での先生と生徒らの直接のやりとりを織り混ぜ、次第にどの国や街が素晴らしいかという地域を舞台とした話へと広がる。そんな中、十字軍侵攻時の背景も忘れて老人の語りに集中していると、ハーリス自身この話の作者で、彼自身が読者をペテンにかけているのではないか?という不安がよぎる。もしかしたら韻を踏む文体と物語の内容のギャップが、「信用するな」というメッセージをいつも仄めかし続けていたのかもしれない。2022/09/10
たから
1
素晴らしかった!2009/07/09
葉月あき
0
しばらく積んでたけど、ようやく読了。日本やまだしも馴染みのある東洋・西洋文化圏とはまた違う、当地の文化や感覚などが興味深く、また面白くもある。2009/07/19