内容説明
14世紀初めに書かれたイスラームの政治と歴史の古典。豊富な逸話と詩を交えて、君主の在り方を説き、初代カリフからアッバース朝滅亡までの君主・宰相の事蹟を鮮やかに語る。
目次
第1章 君主の政治と政策(王者らの学問の相違;敬神の念;罪をよく許すこと;気前よさは人心を引きつける ほか)
第2章 王朝各論(正統カリフ時代;ウマイヤ朝;アッバース朝)
著者等紹介
池田修[イケダオサム]
1933年生まれ。大阪外国語大学卒業。専攻、アラビア語学・アラビア文学。現在、四天王寺国際仏教大学教授
岡本久美子[オカモトクミコ]
1960年生まれ。大阪外国語大学大学院修士課程修了。専攻、アラビア語学・アラビア文学。現在、大阪外国語大学助教授
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感想・レビュー
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ドウ
2
君主が備えるべき素質(第一章)と、正統カリフ時代からアッバース朝第二代カリフ、マンスールまでの治世および派生する小話(第二章)とから成る君主鑑文学。正統カリフからウマイヤ朝ヤズィード1世までの大まかな通史は知っていたが、ウマイヤ朝末期~アッバース朝初期にも想像以上に数多くの内乱があったことを知った(現代が専門だからと疎かにしてきたが故の無知)。高校世界史だとバグダードを建設したことしか紹介されていなかったマンスールを含め、歴代全カリフに言及している。訳注はやや雑(人物紹介に偏っている)。2017/08/22
kaeremakure
0
正統カリフのウマルが人々に聖戦を命じると、無名の男が「布の分配に不正があったのであなたの命令には従えません」と言ってカリフに釈明を強いるような、素朴で荒々しい「信徒の共同体」が官僚制を整備した帝国と化してゆく様が興味深い(ムアーウィヤが公文書局を設立したのは、使者がカリフの署名入り詔勅を勝手に書き直しているのに気付いたからだという!)。「大変なことが起こったが/決して私は述べないであろう 考えるのは勝手だが/その情報について尋ねないでくれ(下巻p279)」というのはモンゴルのバグダード破壊についてである。2015/04/16
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