内容説明
青年マナスは、民族の故地奪回をめざして、いよいよ大遠征の途についた。数十万の勇者の戦い、狩りと競馬、恋の駆け引きなど、平原を舞台に繰り広げられる遊牧の民の勇壮な英雄譚。
目次
第1章 テケス・ハーンの魔人部隊撃滅
第2章 オルゴ・ハーン軍との決戦
第3章 アクンベシム征伐
第4章 父祖の故地へ移動開始
第5章 アローケ・ハーンに向けて進撃
第6章 ショールク・ハーンとの抗争
第7章 アルマムベトとの出会い
第8章 マナスとアルマムベトの盟約
第9章 マナスのために嫁探し
第10章 マナスの求婚
第11章 マナス、アルマムベト、四十勇士の結婚
著者等紹介
若松寛[ワカマツヒロシ]
1937年神奈川県生。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現職は京都学園大学人間文化学部教授。専攻はモンゴル史
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感想・レビュー
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syaori
51
少年マナスも、今や勇猛な男盛りの青年に。本巻では、父祖伝来の地への移動とそれに伴う闘い、盟友アルケとの邂逅やマナスの結婚などが語られます。移動するキルギスを他民族に押された流れ者と侮って戦った王が「奴らはれっきとした民族」だったと嘆く場面や、無茶な嫁資を課されたマナスに対し勇士や長者が「お取りくだされ!」と彼らの棟梁、そして部族の名誉のために続々援助を申し出る場面からは、民族の団結と力の高まりが感じられ、高揚せずにはいられません。マナスのほか彼の勇士たちもそれぞれ妻をとり、賑やかな祝典を眺めながら次巻へ。2019/05/27
Oltmk
1
キルギスの英雄叙事詩「マナス」の主人公マナスの青年時代を描いたもので、本作ではテケン・ハーン、アクンベシム、アローケ・ハーンといった強敵を撃破し、三十代になってようやく運命の妻を迎える主人公が描かれるもの。ただ、世界一長大な叙事詩を三部作にまとめるために抄訳が行われており説明もなくマナスの妻となった登場人物が出てきてしまう。しかし、キルギスなどの遊牧民族たちの架空と現実が入り混じる魅力的な世界観などの前には些細な事である。本作の解説で、マナスを唱えるマナスチ達によって大量の即興創作が行われる事を知った。2020/07/07
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
0
この種の物語は退屈であることを覚悟して読み始めたが、どうしてどうして、電車を乗り過ごしそうになるほど読み耽ってしまった。馬のたてがみの下の脂を最上のものとして珍重したり、酒にストリキニーネを混ぜて酔いを強くしたり、いろいろな種類の騎馬レース、馬上一騎打ちの描写、人々の名前・・・。どれもこれも珍しく、面白かった。主人公をさほど魅力的と感じないのは、こちらが日本人だからしょうがないのかな。(笑)2019/10/11