出版社内容情報
ジョイス『ダブリナーズ』の短編を同時期に書かれた妖精・幽霊短編作品と併読するアンソロジー。19世紀末から20世紀初頭、人々が肌で感じていた超自然的世界が立ち現れる!
内容説明
アイルランドの首都ダブリンに生きる様々な人を描いたジョイスの『ダブリナーズ』。この傑作短編集の作品を、十九世紀末から二十世紀はじめに書かれた妖精・幽霊譚と並べてみると―。名作をこれまでとは異なる文脈に解き放ち、当時の人々が肌で感じていた超自然的世界へと誘う画期的なアンソロジー。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
59
ジェームズ・ジョイスの『ダブリナーズ』を主軸にアイルランドの妖精・幽霊に纏わる挿話を収録。取り換えっ子が生じた場合の対処法を伝える「卵の殻の醸造」ですが、妖精と分かった時の対処法が結構、凶暴すぎて絶句した。高里君(『魔性の子』)がそうならなくて本当に良かった・・・。アイルランドの愛国心がささやかな幸せを壊す「キャスリーン・二・フーリハン」。最後に少年が見た者が「女王のように歩く若い女」という部分にゾッとした。ファムファタールは決して人間だけではないのだ。通夜に掛けたい曲に選出される「フィネガンの通夜」収録2023/09/18
蘇我クラフト
4
妖精や幽霊奇譚の文豪たちのアンソロジー。知る名前は沢山、しかし未読の短編小説のオンパレード。この出版社が気になり始めた2023/09/10
たつや
3
Jジョイスの「ダブリナーズ」を妖精幽霊短篇として編んだアンソロジーだそうだ。読み易いが、元の本を知らないから、良さが理解出来ていないかもしれない。2024/05/05
ムーミンママ
3
アンソロジー。妖精&幽霊譚。短編なので分かりやすかった。2023/11/10
志村真幸
2
ジョイスの『ダブリナーズ』を、同時期のアイルランド/イギリスの妖精・幽霊譚と併読していく、ちょっと不思議なコンセプトの短編集だ。 19世紀後半~20世紀のアイルランドとイギリスの幻想世界を楽しむことができる。伝統的な民話や俗信が、小説という新たな形を得て語り直されていった点が興味深い。当時の社会でいかに幽霊や妖精に需要があり、心霊現象や降霊会が流行っていたのかも。 なおかつ、ジョイスの作品と並べられることで、ジョイスのなかの民俗性も読み取れるし、従来の物語がいかに現代化されていったかも理解できる。2024/09/26