出版社内容情報
1871年の「解放令」発布から現代にいたるまで、人々の意識に内面化され維持されてきた被差別部落の差別構造をていねいに解き明かす一冊。原著刊行後の動向を入れた増補版。
内容説明
一八七一年、近代国家建設に伴う国民統合のため、明治政府により布告された「解放令」。制度上では四民平等が謳われながらも、差別は人々の意識に内面化され、時代ごとに形を変え、現代まで根強く存続するに至る。差別はいかに再編され、維持されてきたのか―。原著刊行後の動向を増補し被差別部落をめぐる差別の構造をていねいに解き明かす通史決定版。
目次
第1章 近代国家の成立と再編される身分
第2章 帝国のなかの部落問題
第3章 解放か融和か
第4章 「国民一体」と人種主義の相克
第5章 戦後改革のなかで
第6章 「市民社会」への包摂から“いま”へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hoiminsakura
6
弾左衛門に関する本を読んだので明治維新の「解放令」後の被差別民の歴史について知りたかった。政治や社会運動との関わりにも詳しく触れられていて勉強になった。言葉や身分の上では無くなったはずの差別が、日常生活や婚姻、就職の場等で現代に至るまで根深く存在する現実に驚愕した。様々な差別の理由となる原因は他にも多々あり、差別などしていないつもりでも偏見をもってしまいがちな自分に気付かせてもらった。2023/06/23
knuuyy
1
とても面白い。私は差別についても部落問題についても無知で、驚きの連続。トランスジェンダーへのバッシングを機に差別とはなにかを考えはじめたが、部落史のなかに、LGBT差別と似た部分をみつけ身近に感じる。同情融和は理解増進に似ているように思うし、企業の損得で差別をやめたのもダイバーシティ政策に通じるし、差別者に迎合する当事者、差別などないとするマジョリティ、神政連事件など。部落問題は偉大な先輩だと感じた。日本での差別問題のありかたを知るうえで、部落の歴史を学ぶ必要性を感じている。2023/03/21