出版社内容情報
「メシア」「声」「註釈」「潜勢力」「閾」「身振り」「?聖」「無為」「共同体」に「生-の-形式」を加えた10の鍵概念からアポカリプス(啓示)の思想家の核心に迫る、恰好の入門書。
内容説明
「潜勢力potenza」「閾soglia」「身振りgesto」「〓聖profanazione」「無為inoperosit`a」「共同体comunit`a」「メシアmessia」「声Voce」「註釈glossa」に「生‐の‐形式forma‐di‐vita」を加えた10のキータームから、アガンベンの思考をたどり、その深化する思想の全体像に迫る。
目次
1 潜勢力 potenza
2 閾 soglia
3 身振り gesto
4 〓聖 profanazione
5 無為 inoperosit`a
6 共同体 comunit`a
7 メシア messia
8 声 Voce
9 註釈 glossa
10 生‐の‐形式 forma‐di‐vita
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954年生まれ。京都大学名誉教授。京都精華大学大学院特任教授。西洋美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bartleby
9
「人間とはすぐれて潜勢力の次元、なすこともなさないこともできるという次元に存在している生きものである」 アリストテレス流にいえば「非の潜勢力」(アデュナミア)。アガンベンの思考は、する/しないの境界、「閾」に立つものだ。だからいろいろと誤解も招く(Covid-19に関する発言とか)。著者によれば「人間に固有の仕事などもともと存在しない、という固い信念がアガンベンにはある」。同感。だからこそアガンベンは閾に立ち続ける。耳あたりのよい物語には傾かない(彼にとってはその1つとしてキリスト教神学がある)。2022/10/01
ヒナコ
7
アガンベンの『ホモ・サケル』があまりにも難解だったので、手頃な解説書はないかと思って読んでみた。「潜勢力」「閾」「無為」「生―の―形式」などのアガンベンの鍵概念別に、それぞれ解説されている。 アガンベンは倫理学を存在論に引き付けて考えていることや、アガンベンにとっての政治とは、「やれるけれどやらない」という、「潜勢力」をそのままにしておく「無為」にあるのだということまでは、本書の解説でよくわかった。→2022/02/04
一郎二郎
2
近代統治システムは神学の印を帯びている。父=政治と子=経済の分離。終末後に顕現する父なる神の様に、意味が未来に持ち越され空虚になる政治。過度に重視される経済。聖務の実効性から存在=義務とみなされた人間。しかし統治システムが分離・分轄した結果生み出された残余にこそ潜勢力が秘められている。メシア的使命は、残余としての過去を現在において集約し完結させる事にある。新たな倫理は生産でも行動でもなく、身振りの変容により事態を引き受ける事にある。作者が作品のなかへ生を賭ける事で成立する文学も身振りとして解析可能だ。2022/02/26
Go Extreme
1
潜勢力と無為: デュナミス エネルゲイア できることとできないこと 政治哲学と主権: ホモ・サケル 例外状態 生政治 主権のパラドクス 生の形式: ビオス 生の潜勢力 共同体と特異性: ポスト主権的共同体 愛されるもの 閾と移行: 不分明地帯 例外と範例 政治と存在の交差点 メシア的時間 証言と倫理: アウシュヴィッツと倫理 歴史の不連続性 サルトルとの比較 言語と身振り: 声 言語と存在 身振り 詩的創造 沈黙の哲学 世俗化: プロファナツィオーネ 神学と政治 世俗化の戦略 カイロス 新たな共同体2025/02/16
けぴ
0
アガンベンのスタイルと思想とが交差し合いながら一つの「註釈」としての書物となっていく様がありありと浮かび、またわかりやすく解説されている良書。2024/09/08