出版社内容情報
アイヌ=「人間」とカムイ=「人間にない力を持つものすべて」が織りなすさまざまな物語──『ゴールデンカムイ』の監修者がひもとく、豊かなアイヌの世界観と口承文芸の魅力。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Michio Arai
8
筆者はアイヌ文化研究者、アニメ「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者でもある。 アイヌの世界はアイヌ=「人間」とカムイ=「神様」という2つの精神世界で構成され、お互い対等で相互依存的。 カムイ(自然)の物語は神謡、アイヌの生活は散文説話、勇敢なアイヌは抽象化され英雄叙事詩。多種多様なカムイやアイヌの物語はフチ(おばあさん)によって口承される。口承であるので謡うのは必然で、フチの謡は一つの形ではなく多様になる。 文字を持たない言語による文学というものが未だにぴんと来ないが、その分好奇心が湧いて愉しい。2020/08/01
しらたま
4
アイヌの物語には神謡(カムイユーカラ)、民話(人間達の話、カムイとの婚姻、パナンペ・ペナンペ)、英雄叙事詩と3つに分けられている。特に読んでいて面白かったのはカムイユーカラとカムイと人間の婚姻だった。個人的にはアイヌラックルまたはオキクルミについて知りたかったので残念。4章と5章はかなり専門的な内容だったので本格的に勉強したくなったら再読しようと思う/アイヌの巫術や死生観(民俗学)に興味があるが文献はあるだろうか。色々読みたい本が増えました2021/05/15
ダージリン
3
アイヌの物語世界は実に魅力的であった。英雄叙事詩なんて想像力豊かで自由なストーリーで、日本にはあまりないジャンルではないだろうか。そう思うと日本の民話や伝承こそ少し異質なのではという気がする。アイヌの文化そのものが魅力的に覚え興味が湧いてくる。今後少しアイヌ関連の本を読んでみたい。2024/05/27
fantamys
2
アイヌ文学の物語内容から傾向、アイヌ語の特徴、研究史まで、とてもわかりやすい、誰かに紹介したくなるような入門書。2024/11/02
南
2
ゴールデンカムイの解説本が面白かったのとその中にあった雷神と夫婦の話の続きが知りたくて。更にタイミングよく改訂ということで読みました。色々なアイヌの物語はもちろん、ハッピーエンドの形がヨーロッパのおとぎ話がお金持ちになるのに対しアイヌはたくさんの子孫に囲まれるという違いが一番文化というものを感じました。ただ知りたかった話の続きは載っていなかった…いつかどこかで読めますかね?2020/06/25
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